J3番記者座談会LIVE(J論)【4/17(木)21時】

中野吉之伴フッスバルラボ

【きちルポ】物書きになる前に書いた文章を取り上げて、改めて考察してみた。成長するために考えるべきは答えではなく〇〇?

A級ライセンス講習会の時の写真。後列左が元ドイツ代表FWトーマス・ブルダリッチ。その隣が元アウグスブルク、シャルケ監督マルクス・バインツィール、8番が元ハッダーフィールド監督、ドルトムントU23、マインツU23監督で現在フュルト監督のヤン・ジーベルト。前列左はダルムシュタットらでアシスタントコーチとして活躍したフランク・シュタインメッツ。豪華なメンバーだ

▼ 物書きになる前の文章

今みたいに物書きを生業にする前は、思いつくことがあったらすぐにメモを取っていたのを思い出す。ブログも精力的に書いていたし、自分が学んだことを精力的にまとめていた。SCフライブルクで研修していたころは、それこそ毎日その日あったことをメモしていたし、国際コーチ会議では毎回、びっしりと気になったことを書き留めていた。

どこにどのように発表するとかを考えずに、思ったことをすぐ書き留めていた時代。

読まれる記事とか、注目を集めるだろうトピックスのあり方とかを全く気にすることなく、貪欲なまでに自分と向かい合って、不特定多数の評価ではなくて、ドンピシャにこの情報を求めている人が一人でもいたら最高くらいの心持で取り組んでいたものだ。

最近は書くことへの悩みが増えている。現場に足を運び、試合をしっかりと分析し、選手のコメントをとって、監督の記者会見に参加して、それでもオファーがなければ僕は記事を世に送り出せない。短いコラムを1本書いて、でも選手はもっと深いことを話している、この試合にはこんなことがあったんだ、というのを取り上げられる場所がないのが現状だ。

一時代と比べて欧州サッカーに関する興味が日本国内で急激に下がっているというのはよく聞く話だし、実際にPV数などで測ったら、その事実がまざまざとわかるのだろう。メディア業界全体が苦しいのだから、こちらに流れてくる仕事だって少なくなるのは理解できる。気が付いたらドイツで自分で取材して自分でコメントを聞き出して自分で記事を書いてというライター/記者は数人になっている。じゃあ僕らの独壇場かというとそうではないのが寂しい話だ。

じゃあ、このフッスバルラボで書けばいいじゃないかというとそういうわけにもいかない。ブンデスリーガやチャンピオンズリーグの試合レポートや選手の寸評とこのラボでずっと大事にしてきているグラスルーツやサッカーと生きることへの話との方向性や総和性でバランスをとるのがなかなか難しい。以前に何度か、そんな記事をラボでアップしたこともあるが、正直あまり手ごたえを感じていない。やはり適材適所はどんなことをやるうえでも重要なポイントだ。

9月以降、新しい取り組みのアイディア出しをずっとしている。ここ最近でようやく少しイメージが固まってきているところだ。切り口を変えて、アプローチを変えて、何か新しいものを生み出せるように、しっかりとしたプロジェクトとして動き出したいと思っている。

さて、今回はそんな僕の台所事情についてつらつらと書いていくわけではなく、そんな以前僕が書き溜めていた文章をピックアップして、それを今の視点で再考察してみようというのをやってみたいと思う。

どんな化学反応が生まれるのか僕自身もワクワクだ。

サッカー年代別トレーニングの教科書の修正原稿。年代別トレーニングを掘り下げたこともやりたい

▼ 指導者にとっての《知》とは?

指導者は学び続けなければならない。

この言葉は真実であろう。世界サッカーのあり方はスピードを落とすことなく変わり続けている。10年単位の話ではない。ほんの1-2年前まで当たり前だと思われたことが覆されたり、別のやり方が大きく取り上げられることは普通にある。2014年ワールドカップで優勝したドイツもさらなる成長を求めて、タレント育成プロジェクトのバージョンアップを行なっている。立ち止まることは許されない。

情報の先鋭化。

かつての常識がこれからも普遍的なわけではない。これまでの成功がこれからの保証になるわけではない。だから常にアンテナを張り、世界の動向に目を配ることが必要不可欠だ。

とても大切なことだと思う。

(残り 2659文字/全文: 4479文字)

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