《育成論》戦術知識やコーチングノウハウよりも大切なこと。みんなが安心を感じられる空気感があなたのクラブにはありますか?
▼ 人との出会い・心の交流
人間性とか、人柄とか、人間力とか。
そんな言葉で人となりがあらわされたりする。でもそれって具体的に何を言うんだろう?
多様性の時代だ。互いにリスペクトをもって、適切な距離感を求められるのが本来の社会の在り方だ。評価されるためには評価軸がなければならない。評価軸はその環境と背景と立ち位置で決まってきたりする。
ところ変われば求められることだって違う。必要とされる能力だって違う。
決断力が何より求められる場所があれば、
調整力が何より力を発揮する関係性もある。
柔軟性が大きな力を生み出す条件もあれば、
鈍感性が事態の収拾に役立つ案件だってある。
役職、立場、関わり方。みんなそれぞれだ。
そんな中、どんな現場でも、どんな環境でも、どんな年代でも大切なのって、みんなが安心を感じられる空気感を作り出す能力だと思う。ここでいうみんなというのは子どもたちだけではなくて、指導者も、そして保護者も含めてだ。
安心とは、そこで何をやってもいい訳でも、わがまま全てが許されるということではなくて、自分が自分らしくいてもいいことを認めてもらえていると実感できることだ。
安心があるから、信頼が生まれる。
信頼とは、怒るか怒らないか、褒めるか褒めないかではなくて。自分の話を聞いてくれたうえで、いま何が大事で、何が大切で、何が必要かの基準値を示してくれて、そのなかで親身に話をしてくれることで生じるものではないだろうか。
戦術的知識が豊富だからリスペクトされることはない。コーチングのノウハウを知ってるから心の交流ができるわけではない。
自然体で、謙虚に、偉ぶることなく、卑下することなく、のびやかに。
それがベースになければ、どんな知識も、情報も、宝の持ち腐れ以上の存在にはならない。
どうか、ゆめゆめ忘れることなかれ。
▼ 話を聞くことがスタート
日本で活動をしていると基本的に対峙する人たちはほぼみんな初対面。どんな性格で、どんな趣味があって、どんな毎日を過ごしていて、そんな情報がない状態で向き合うことが求められる。
90分から2時間の間に何もかもをうまくやることはできないし、思いのたけ全てを伝えることだってできない。
でも子どもたちからも、大人たちからも、「心のドアをちょっと開けて話してみてもいいかな。話してみたいな」と思ってもらえる空気感を作り出すことはできるのではないかと思う。
やり方はシンプルだ。
話を聞く、話を聞こうとする、話を聞くために動き回る。
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