石井紘人のFootball Referee Journal

2014ブラジルW杯アジア予選 イラク×日本 コバレンコ審判団評:3

■主審:コバレンコ(ウズベキスタン)

 採点:3

 

2008年の真夏の北京五輪同様に、前半と後半に給水タイムが設けられるという特殊なコンディションで行われた試合は、ボディコンタクトの多い立ち上がりとなる。

 

試合のポイントとなるコバレンコ主審の基準だが、4分、酒井への足を挟むようなスライディングをロールバックしたシーン。これは最低でも注意が必要で、審判員の厳しい姿勢を示して欲しかった。10分の伊野波のドリブルが長くなった所でのチャレンジも、アドバンテージ後に注意が必要だと思う。

 

影響したファウルはとるが、ラフなものに厳しい姿勢を示せていない。これが後々どう影響するか、不安な立ち上がりだった。

もちろん、ファウルの見極めは的確で、12分のユニシスのホールド。18分のフンマディが裏に抜け出し、PA内に進入したところで、追いついた長友がチャージしたシーンをノーファウルとしたのは支持できる。多少手は出ていたが、フットボールでは起こるコンタクトといえるし、フンマディが両手を揃えて倒れたのが、逆にノーファウルを明確にした。

 

一方でラフな雰囲気は消えていない。

20分の低いボールに頭を出した岡崎とイブラヒムの足の接触は、最初はフィフティだとしても、イブラヒムはクリア後も足を岡崎にあえて当てている。中東のラフなプレーが要所で感じられ、これはコバレンコ主審が、立ち上がりに厳しい姿勢を示せなかったから増長させてしまった部分もある。

23分の酒井へのスライディングも完全に遅れているが、カードはなし。47分のアラーの競り合い後の腕も、狡猾な意図が感じられる。

61分のユニスに抜かれた日本選手がもつれるように倒したシーンは、ファウルになるかと思ったが、ユニスが貰いにいったということでノーファウル。日本としては、助かられたシーンだ。

71分、岡崎にボールを奪われた所を、あきらかに足払いのようなチャレンジしたアブドゥルにさすがに警告を与える。88分には、“ホールドされた、ファウルだ”とセルフジャッジしてプレーを止め、その後、コバレンコ主審に異議を唱えたフセインに警告。

 

 

議論できるのは、81分。

PA内でこぼれたボールに、伊野波を背負っているのに、オーバーヘッドのようなシュートを試みたアブドゥルに警告。二枚目で退場に。

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