石井紘人のFootball Referee Journal

【連載:Jリーグ紀行第5回】2013AFCチャンピオンズリーグ 浦和×広州恒大 トルキ・モフセン審判団評:1

試合は、審判団に問題があるといわざるを得ない展開となってしまった。

有料で記事をご覧頂いているというのは、取材費を頂いているということ。ならば、このような試合では、読者の皆様に変わり、しっかりと判定に関する質問、Football Referee Journalをしなければいけない。

しかし、残念ながら一番話を訊きたいリッピ監督は、退席となったため、会見には出席しなかった。代わりに出席したマッシミリアーノ・マッダローニアシスタントコーチには、私が質問するまでもなく、中国メディアから質問が飛んだ。 

「リッピ監督は、わざと(ボトルを)蹴ったのではないのですが、レフェリーに対してどうこういうことではありません。サッカーの試合では、レフェリーに対して疑問があることはよくあります。今日の判定に関しては、特に後半わかりにくい場面もありましたが、試合の中での判断ですので、こういったことはよくあります。特にこの試合についての判断に関して何かを批判したりする気はありません。」

意外にも冷静だった。とは言え、リッピ監督が退席になってからのレフェリングを考えれば、決して不思議なことではない。では、ペトロビッチ監督はどうか?

レフェリーについて、どのような印象を持ちましたか?」

私がそう質問すると、ペトロビッチ監督は通訳に、“いいから、そのまま訳してくれ”というような仕草をみせた。これは、大宮アルディージャ戦の話をする布石だったのだろう。 

「日本の試合の後にレフェリーに関する質問が出ることを私は嬉しく思っている。大宮戦では選手が退場している間、我々の選手がなかなか入れずに、失点してしまった。確かルールでは、選手が出血した場合はレフェリーが確認しなければいけない。だから、第四審判側に出して、(第四審判が)確認をして中に入れるシーンだったと思う。

今日のPKに関しては、吹いてもおかしくないし、吹かなくてもおかしくないシーン。フィフティだったと思う。

ただ、大宮戦の梅崎のシーンに関してはPKだったかどうかという質問は飛んで来なかった。ペナルティーエリアと中盤のエリアでの判定は、同じ基準で吹かなければおかしい。ファウルはファウルだ。

今日は結果的に我々にとってはいい判定だったと思っている。

今日は中国メディアの方がいるので、もうひとつ。広州恒大のホームでの初戦、10の場面で原口が左足でクロスを上げた場面、あれは手に当たってハンドだったと思います。

覚えていますか?」

 と笑いを誘った。

観戦者からすれば、レフェリーを敵視したくなるような試合にもかかわらず、両ベンチ共に、会見で爆発するような不満を溜め込んでいないようだった。

それには理由があり、このようなレフェリングになってしまったのにもポイントがあった。

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