【コラム】水戸ホーリーホックの2021シーズンの戦い方を検証する―開幕戦と最終節を比較―
【コラム】水戸ホーリーホックの2021シーズンの戦い方を検証する―開幕戦と最終節を比較―
■右サイドの守備が課題になる
2月28日 明治安田生命J2リーグ第1節 水戸ホーリーホック 1-2 大宮アルディージャ
水戸のフォーメーションは「4-3-3」で、中盤は逆三角形を作る。8分に深堀 隼平のゴールで先制したのは水戸だった。しかし後半になって、大宮は選手交代からゲームを引き寄せる。反撃を開始。左サイドの佐相 壱明に替わって柴山 昌也をピッチに入れる。さらに、右サイドの松田 詠太郎を黒川 淳史に替える。この交代によって、ワイドに選手がポジショニングして攻撃するようになる。70分に左サイドの柴山がインターラップからカットインして右足でゴールを決める。このシーンで、水戸の課題が露呈した。もともとFWだった村田 航一がSBにコンバートされている。村田は、柴山のカットインに付いていけずに、ペナルティエリア内で滑って転んでしました。そのために柴山はフリーとなれて、冷静にコースを決めてシュートができた。攻撃的選手を守備的ポジションにコンバートした場合、守備に関して不慣れな動きをしてしまう。75分に村田は、ベンチに下げられてしまった。
83分に右SBの馬渡 和彰が早めにクロスを入れる。FW奥抜 侃志がヘディングで逆転弾を叩き込む。この場面は、ペナルティエリアに水戸が3人で大宮が2人になっている。水戸は3対2で数的優位である。水戸のCB2人の間に大宮の選手が入っていくことでマークが曖昧になる。奥抜は水戸の選手よりも先に身体を入れて、クロスのボールに合わせることができた。この試合では、水戸の守備の不安定さがはっきりした。特に、左サイドでワイドから右へのクロスが有効手段になる。守備を立て直さないと、得点を奪っても失点をするの繰り返しになってしまう。
■夏に中心選手の移籍によって戦力ダウン
12月5日 明治安田生命J2リーグ 第42節ヴァンフォーレ甲府 3-3 水戸ホーリーホック
水戸のフォーメーションは、「4-4-2」で中盤がボックス型を採用する。水戸はいくつかのフォーメーションを採用して、選手も好調な選手を起用するやり方を採っている。これは、筆者の思うところなのだが、基本は「4-4-2」にして、選手もある程度固定した方がいいのではないか。選手は適合能力が高いと考えてフォーメーションをいくつも採用しているのかもしれない。また、競争力を高めるためにいろんな選手にチャンスを与えているのかもしれない。そうしたやり方は、間違いではないが、得点が59で失点が50という数字は、得点を入れても失点してしまう傾向が明らかである。J1リーグに昇格を目指すのであれば、失点は20点台に抑えないと難しい。昨季は4チーム多かったので、42試合あった。その中で、失点が50もあれば、連勝するようなゲームを組み立てるのが難しくなる。甲府戦のように、点数を取っても追いつかれるゲームを強いられることになる。最終節の試合は、水戸の昨季の戦い方を象徴するゲームだった。
例えば、試合終了5分前に2-1で勝っているのに、得点を奪いに行ってカウンターをうけるような試合運びをしていたら、勝ったり負けたりの繰り返しを演じてしまうだけだ。選手の意識改革をどこまで高められるのか。それが今季の秋葉 忠宏監督のやるべきことだろう。
それでも、昨季の秋葉監督は、苦しいチーム事情の中、うまくやり繰りをしたと思う。開幕戦でスタメンだった選手が夏の移籍市場でターゲットになって、4人も引き抜かれていった。CB住吉 ジェラニレショーンはサンフレッチェ広島、SB温井 駿斗は藤枝MYFC、CH平野 佑一は浦和レッズ、深堀はFC岐阜へ移籍していった。センターラインの2人と左サイドの2人。特に、住吉と平野の抜けた穴は大きかった。だが、8月14日第25節のFC琉球戦においてスタメンで起用された鈴木 喜丈が、シーズン後半からポテンシャルの高さを発揮して活躍するようになった。鈴木の成長は、水戸にとって大きな財産になる。今季のDFの柱としてさらなる飛躍が期待される。
シーズン後半からチームを作り直した秋葉監督の手腕は評価できる。そのことが、契約更新のオファーにつながったのだろう。水戸以外のクラブから声がかかっていたようだが、他クラブがオファーするのはよくわかる。年間順位を10番目で終えたのは価値がある仕事だった。今季は、最終節のスタメンから4人がチームを離れることになった。いずれも主力選手なので、チームを一から作り直さないとならない。今季も、秋葉監督の手腕が試される。
■加入確定選手
リリース日 | ポジション | 選手 | 前所属 | 移籍先 | 備考 |
2022年1月5日 | FW | 木下康介 | 浦和レッズ | 水戸 | 完全移籍 |
2021年12月29日 | MF | 高井和馬 | レノファ山口 | 水戸 | 完全移籍 |
2021年12月28日 | FW | 唐山翔自 | ガンバ大阪 | 水戸 | 期限付き移籍 |
2021年12月28日 | GK | 山口瑠伊 | レクレアティーボ・ウェルバ(スペイン) | 水戸 | 完全移籍 |
2021年12月27日 | FW | 深堀隼平 | FC岐阜 | 水戸 | 期限付き移籍満了 |
2021年12月26日 | MF | 土肥航大 | サンフレッチェ広島 | 水戸 | 期限付き移籍 |
2021年12月25日 | MF | 音泉翔眞 | カターレ富山 | 水戸 | 完全移籍 |
2021年12月24日 | MF | 鈴木喜丈 | FC東京 | 水戸 | 完全移籍 |
2021年12月23日 | MF | 椿直起 | 横浜F・マリノス | 水戸 | 期限付き移籍 |
2021年12月23日 | MF | 曽根田穣 | 京都サンガF.C. | 水戸 | 完全移籍 |
2021年12月22日 | MF | 前田椋介 | テゲバジャーロ宮崎 | 水戸 | 完全移籍 |
2021年12月18日 | DF | 楠本卓海 | レノファ山口 | 水戸 | 完全移籍 |
2021年12月16日 | DF | 田辺陽太 | いわきFC | 水戸 | 期限付き移籍満了 |
2021年12月16日 | FW | 梅田魁人 | テゲバジャーロ宮崎 | 水戸 | 完全移籍 |
2021年12月11日 | DF | 田辺陽太 | いわきFC | 水戸 | 期限付き移籍満了 |
2021年10月4日 | MF | 杉浦文哉 | 明治大 | 水戸 | 新加入 |
2021年9月30日 | DF | 松田隼風 | JFAアカデミー福島 | 水戸 | 新加入 |
2021年9月10日 | MF | 髙岸憲伸 | 中央大 | 水戸 | 新加入 |
2021年4月29日 | DF | 後藤田亘輝 | 青山学院大 | 水戸 | 新加入 |
■退団確定選手
リリース日 | ポジション | 選手 | 前所属 | 移籍先 | 備考 |
2022年1月7日 | DF | 今掛航貴 | 水戸ホーリーホック | 鳥栖 |
期限付き移籍満了
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2022年1月7日 | MF | 古宿理久 | 水戸ホーリーホック | 横浜FC |
期限付き移籍満了
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2022年1月7日 | FW | 奥田晃也 | 水戸ホーリーホック | 長崎 | 完全移籍 |
2022年1月7日 | DF | 瀧澤修平 | 水戸ホーリーホック | 宮崎 | 完全移籍 |
2022年1月7日 | FW | 藤尾翔太 | 水戸ホーリーホック | C大坂 |
期限付き移籍満了
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2022年1月7日 | FW | ブラウンノア賢信 | 水戸ホーリーホック | 沼津 | 完全移籍 |
2022年1月6日 | MF | 木村祐志 | 水戸ホーリーホック | 鹿児島 | 完全移籍 |
2021年12月28日 | GK | 牲川歩見 | 水戸ホーリーホック | 浦和 | 完全移籍 |
2021年12月28日 | MF | 松崎快 | 水戸ホーリーホック | 浦和 | 完全移籍 |
2021年12月27日 | FW | 深堀隼平 | 水戸ホーリーホック | 群馬 | 完全移籍 |
2021年12月27日 | FW | 平田海斗 | 水戸ホーリーホック | ラインメール青森 |
期限付き移籍延長
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2021年12月27日 | FW | 山根永遠 | 水戸ホーリーホック | C大阪 |
期限付き移籍満了
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2021年12月26日 | FW | 中山仁斗 | 水戸ホーリーホック | 仙台 | 完全移籍 |
2021年12月26日 | MF | 伊藤涼太郎 | 水戸ホーリーホック | 浦和 |
期限付き移籍満了
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2021年12月22日 | DF | 細川淳矢 | 水戸ホーリーホック | 今治 | 完全移籍 |
2021年12月21日 | DF | 岸田翔平 | 水戸ホーリーホック | ラインメール青森 | 完全移籍 |
2021年12月8日 | MF | 渡邉柊斗 | 水戸ホーリーホック | 名古屋 |
期限付き移籍満了
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■2022シーズンのポジション予想
川本梅花