川本梅花 フットボールタクティクス

【連載】ゴールキーパーがビルドアップの出発点になります【1日1回読むだけで身につくサッカーの見方の基礎知識】

【1日1回読むだけで身につくサッカーの見方の基礎知識】

ゴールキーパーがビルドアップの出発点になります

ゴールキーパー(GK)がビルドアップの出発点となってゲームに参加します。こうした光景は、ここ数年で数多く見られるようになってきました。以前でしたら、センターバック(CB)がGKにボールを戻すと、前線に大きくボールを蹴る光景がありました。しかし、今では多くのチームのGKが、サイドバック(SB)にボールを蹴るか、サイドに開いたCBにボールを送るかというやり方になっています。あるいは、センターハーフ(CH)に高速の縦パスを通してクサビ役にします。当然、自分たちのゴールに近い場所でのパス交換ですから、ボールをインターセプトされるリスクはあります。でも、そうしたリスクを背負っても、GKがビルドアップの出発点となってボールを前に運べれば、後方で数的優位を作れてゲームの主導権を握れる確率が高くなるのです。

GKの足元の技術力も、ますます要求されるようになってきました。GKがロングボールを味方に向かって蹴ったとしても、ターゲットマンが相手選手と競り合わなければならないので、ボールキープできる確率は高くありません。その点、ショートパスで味方にボールを渡せればパスミスも少なく、自分たちがボールを保持できる確率は低くはありません。ボールポゼッション率が高くなれば、数的優位な状態でボールを持てるのです。数的優位がどうして大切なのかと言えば、攻撃の選択肢が増えるので、同時に得点機会も増えることになります。

様々なポジションと同じように、GKにも、いくつかのタイプがあります。GKは、チームに安定感をもたせることが重要になってきます。安定感があるGKは、チームに安心感を与えます。そう言った意味では、ゴール前にどっしりと構えたGKのタイプが適任者かもしれません。抜群の反射神経で相手のシュートを防いでいく。相手にシュートは打たせるが、見事なファインセーブでチームを救うタイプのGKです。

もう一つは、シュートを打たれる前にその状況をケアするタイプのGKです。ディフェンスラインが上がれば、それだけ最終ラインとGKの距離が開きます。そのために、GKは前進して裏のスペースをあらかじめ埋める必要があります。相手が最終ラインの背後にパスを出したら、積極的に前に飛び出してシュートを打たせない状況を作るタイプのGKです。

GKがビルドアップの出発点を担うようになった現代サッカーは、GKの役割やそのタイプも大きく変化しているようです。

川本梅花

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