川本梅花 フットボールタクティクス

【試合分析】#宮崎純真 ニアゾーンに走り込め!【無料記事】J2第33節 #ヴァンフォーレ甲府 1△1 #アルビレックス新潟 #vfk #albirex

宮崎純真 ニアゾーンに走り込め!
目次
両チームのシステムを組み合わせる
宮崎純真にみた可能性
ニアゾーンに走り込め!
宮崎純真の投入後に生まれた変化

2019明治安田生命J2リーグ第33節
ヴァンフォーレ甲府 1△1アルビレックス新潟
https://www.jleague.jp/match/j2/2019/092101/live/

両チームのシステムを組み合わせる

9月21日の土曜日、明治安田生命J2リーグ第33節、ヴァンフォーレ甲府対アルビレックス新潟が山梨中銀スタジアムで行われた。

ホームの甲府はここ4試合、2勝1分け1敗で乗り切っている。フォーメーションは「3-4-2-1」の3バックを採用。対する新潟のフォーメーションは「4-2-3-1」だ。

両チームのシステムを組み合わせた図は、以下の通り。

宮崎純真に見た可能性

19歳の宮崎純真は、東京五輪の代表になれる逸材だ。彼は、山梨学院高校時代から注目された選手である。2018年の全国高校総体優勝に貢献し優秀選手に選ばれている。日本代表歴は、2019年日本高校選抜に選出された。

筆者が宮崎の可能性に確信を持ったのは、9月18日に行われた天皇杯4回戦、延長戦の末に 甲府が2-1で法政大を破った試合だ。1-1の同点で迎えた延長前半3分、佐藤洸一からのボールを宮崎が相手DFをかわしてシュートを蹴り込みゴールを決める。この場面ですごかったのは、ファーストタッチで相手をかわしてシュート選択をしたことだ。ボールを受けた瞬間に相手DFとGKの位置を確認した結果、一連の動作を選択したのだろう。

大学進学かプロに加入するか迷った宮崎は、5月12日の栃木SC戦でJリーグデビューを飾り9月21日の新潟戦で8試合を数える。プロを選択した決断が間違いなかったことを、これからも見せてくれるはずだ。

ニアゾーンに走り込め!

宮崎純真を74分にピッチに送り込んだ伊藤彰監督は、3バックのシステムを「4-4-2」の4バックに変えてきた。宮崎は、ピーター ウタカと2トップを組むことになる。甲府は、1-1の膠着した展開を打破するために、ラインを高くして攻撃に人数を掛ける。それによって、メリットとデメリットが出てくる。メリットは、前線に人数が多くなったことで、縦パスのコースが増えたことがある。デメリットは、ディフェンスの人数が減るので、新潟のカウンターを受けやすくなる。攻撃の人数を増やしたチームは、必ずリスクマネジメントを考えて試合を進めないとならない。

伊藤監督が宮崎を起用したのは、攻撃の人数を増やした場合に生まれるメリットを優先したからである。つまり、「縦パス」を入れる選択肢を多くすることで、宮崎のスピードを活かそうとした。それが、「ニアゾーン」からの攻撃である。「ニアゾーン」とは、選手が左サイドにいるならば、左のゴールポスト付近の場所を指す。右サイドならば、同様に右のゴールポスト付近になる。

「ニアゾーン」にドリブルで侵入した選手は、マイナス方向にパスを出すのが有効となる。なぜならば、味方の選手が走り込んでシュートを打てることと、相手DFが逆の動作をしないとボールをクリアできないからである。交代した宮崎は、早速「ニアゾーン」に侵入してゴールチャンスを演出した。

■宮崎純真の投入後に生まれた変化

左サイドにいた宮崎は、ピーター ウタカにボールを預ける。ピーター ウタカは、新潟の選手1人を背にして宮崎のパスを受け、宮崎のランニングを見てパスを出す。ボールをもらった宮崎は、新潟の選手1人をかわしてドリブルでニアゾーンに入り込む。そこからマイナス方向にグラウンダーのパスを送る。相手ディフェンスにいったんクリアされるが、走り込んだピーター ウタカはシュートを打つ。このピンチに、相手も必死に足を出しシュートを阻む。

いまは途中出場で使われている宮崎だが、出場時間が延びれば、ニアゾーンに侵入するプレーも多くなってくるはずだ。味方選手が宮崎の特長を知れば知るほど、宮崎の動きの速さと判断力の速さを使いたくなる。なぜならば、相手選手をいかにしてはがすのが有効なのかを考えながらプレーしている選手が宮崎だから。ペナルティエリア内で1人相手をはがすだけで、状況は大きく変わる。それを示したのが宮崎のプレーだった。

川本梅花

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