【試合分析】左サイドバック #志知孝明 の成長と #村田航一 の後ろ姿 J2第17節 #水戸ホーリーホック 4○2 #アビスパ福岡 #mitohollyhock #avispa
伏線がひかれた村田航一のゴール
目次
■ 左サイドバック志知孝明の成長
■ 村田航一の後ろ姿
2019明治安田生命J2リーグ第17節
水戸ホーリーホック 4○2 アビスパ福岡
http://www.mito-hollyhock.net/games/14290/
6月9日の日曜日、明治安田生命J2リーグ第17節、水戸ホーリーホック対アビスパ福岡が、ケーズデンキスタジアム水戸で行われた。
ホームの水戸は、長谷部茂利監督が指揮を執る。「4-4-2」のフォーメーションで、中盤がボックス型のシステムを採用。前節のレノファ山口FC戦でイエローカードをもらった前寛之は累積で出場停止。細川淳矢と木村祐志は、ケガのために出場できない。左サイドハーフ(SH)にスピードが売りの浅野雄也が起用される。FWには村田航一を抜擢。2人とも3月に大学を卒業したばかりの選手だ。
福岡は、イタリア人のファビオ ぺッキア監督が退任し、コーチだった久藤清一氏を新監督に指名した。久藤監督は、前監督と同じ同じ「4-2-3-1」を採用。守備時は「4-4-2」になって2トップが水戸の2人のセンターバック(CB)へプレスに行く。ビルドアップ時はCBが左右に大きく広がり、CHの1人が2人のCBの間に降りてきて3バックで対応する。
両チームのシステムを組み合わせた図は、以下の通りだ。
■ 左サイドバック志知孝明の成長
前節・レノファ山口FC戦では、左サイドの連係について指摘をした。
左サイドバック(SB)志知孝明の前には、左SHの茂木駿佑がいる。志知がオーバーラップしようにも、山口のウイングバック(WB)が志知の前に立ちふさがり、なおかつ茂木もサイドラインに張るので、志知が前進する道を塞がれていた。
福岡戦では左SHに浅野を起用。茂木は慣れた右SHに戻る。志知の前には、浅野がポジショニングすることになった。ただし、サイドラインに張る浅野に対し、志知のポジショニングは中寄り。浅野がボールを持ってラインに張ると、志知は浅野の横を走ってバイタルエリアに進入していた。これは川崎フロンターレの登里享平が取ったポジショニングを思わせた。
志知のポジショニングが、浅野のプレースタイルを生かし、左サイドは活性化された。プレシーズンマッチで見せた志知のプレーから、想像もできないほどの勢いで彼は成長している。
■ 村田航一の後ろ姿
水戸FW村田航一の得点には伏線がある。村田は試合開始早々から、福岡DFの背後を狙い続けた。水戸の中盤の選手たちも村田の意図を汲み、福岡DFの裏に縦パスを送る。何度も繰り返されるやり方を警戒し、福岡DFは背後を取られないように、村田に付いていくようになる。
村田は白井永地から縦パスをもらう前、右サイドに移動する。村田の動きに釣られたDFウォン ドンジェが村田に付いていく。そうすることで、福岡DF吉本一謙とウォン ドンジェの距離が広がる。村田は、ボールが白井に渡った瞬間、逆方向にきびすを返す。その結果、ウォン ドンジェは後れを取り、村田を追うことになる。白井の優しいパスをフリーになった村田は正確にゴールにボールを蹴り込んだ。
FWは「ディフェンスラインの裏を狙うタイプ」と「前線でポストプレーをするタイプ」に分類できる。村田本人は前者だと捉えているようだ。実際、福岡戦では何度も、DFの背後に抜けるトライをしていた。しかし、GK松井謙弥のフィードに身体を張り、ボールを収めていたプレーを見ると、後者の素質もあるように見える。両方の性質を備えた「オールラウンド」の素材ということだ。
「ディフェンスラインの裏を狙うタイプ」には、2つの大切なプレーがある。DFの視界の外で斜めに進入するダイアゴナルラン。そしてDFがFWから視線をズラした一瞬の隙を突いたプルアウェイ。一方「前線でポストプレーをするタイプ」は、相手DFに当り負けないパワーと、ボールを収める懐の深さが必要となる。
この4つを備えているという点で、村田はかつて水戸でプレーしたロアッソ熊本FW三島康平に似ている。また後ろ姿も、三島をほうふつとさせる。三島については「サッカーキング」でもコラムを執筆している。
https://www.soccer-king.jp/news/japan/jl/20160728/473426.html
筆者は2016年7月にチームを去った三島に対して「孤独なストライカー」という印象を持っていた。どういうことかはコラムを読んでもらいたいが、現在の水戸では「孤独なストライカー」は生まれないかもしれない。もし生まれるとしたら、主戦場をJ1に移した時だろうか。
J2第17節を終えて首位。アツマーレという練習場、西村卓朗強化部長の“千里眼”、そして選手たちを気持ちよくプレーさせている長谷部監督の手腕。こうした中で村田はプレーしている。それだけに村田がどこまで成長できるか、楽しみで仕方がない。
#川本梅花
※記事初出時に誤りがございました。お詫び申し上げます。