【サッカー人気5位】【浦和を語ろう】ホーム5連戦クライマックス!好調ガンバのキ…

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黒田サッカーが叩かれるのは「単なるやっかみ」? 【町議】FC町田ゼルビアを議論する座談会<1/3>

 FC町田ゼルビアが飛ばしている。中断期間前の第24節を終えて、154分け5敗の首位。2位のガンバ大阪とは5ポイント差ある。決して予断を許さない状況ながら、そろそろ「#もしゼル(もしもFC町田ゼルビアがJ1優勝を果たしたら)」について、他サポも覚悟しておく必要があるのかもしれない。

 町田はさまざまな点で、諸先輩クラブを戸惑わせる存在である。昨シーズン、圧倒的な強さでJ2優勝を果たしたものの、J1昇格はこれが初めて。強固かつ的確な守備とプレッシングでボールを奪い、素早く前線に展開するシンプルなスタイル。そして黒田剛監督は、青森山田高校で多くの実績を残したものの、それまでプロチームを率いた経験は皆無だった。

 にもかかわらず、町田はリーグ戦を折り返した時点でも首位を維持。対戦相手からの「町田のスタイルはアンチフットボール!」とか「勝つためなら何でもするのか?」といった批判も、以前と比べて少なくなったように感じる。それはすなわち、町田の躍進が単なるフロックではなく、むしろ「#もしゼル」の可能性さえ感じさせる必然、と捉えるようになったことが理由なのかもしれない。

 では、町田が首位にいる必然について、どのような言語化が可能なのだろうか? そこで今週は、そのヒントを与えてくれそうな論者を3人お招きして「町議(FC町田ゼルビアを議論する座談会)」を開催することとなった。

 まず、黒田監督を青森山田時代から6年間、取材してきた上野直彦さん。東京都リーグ1部時代から、町田を応援し続けてきた小森忠昭さん。そして、フラットな視点を持つ中坊さんにも議論に加わっていただくことにした。

 FC町田ゼルビアというクラブを語る時、どうしても「好き・嫌い」の感情論が先立つ傾向が見られる。もちろんサッカーにパッションは必要だが、相手を理解する、という心の余裕はどこかで持っていたい(それこそが「リスペクト」につながるからだ)。今回の「町議」という試みが、その一助となれば幸いである。(202478日、オンラインにて収録)

町田の首位は「J1のレベルが下がったから」?

──上野さん、小森さん、中坊さん、よろしくお願いします。これが初対面という方々もいらっしゃると思いますので、簡単な自己紹介からお願いします。年齢が高い順で、上野さんから。

上野 上野直彦と申します。サッカーライター、漫画原作者、スポーツマーケット会社の経営をしながら、九州産業大学の教授もしております。黒田監督とは、2018年の12月に『アオアシ』の取材で、当時指導されていた青森山田を訪ねた時、初めてお会いして意気投合しました。

──そういえば『アオアシ』に、青森県の高校が出てきましたよね。

上野 出てきますね。そのあたり詳しくは話せませんが(笑) 、この取材がきっかけで継続的に黒田さんに取材をさせていただくことになりました。それをもとにYahoo!エキスパートで記事にしたり、「GOETHE(ゲーテ)」で黒田さんの連載を担当させていただいたりしたんですが、今年の9月に書籍が出ることになりました。

──おお、それは実にタイムリーですね! 版元はどちらからですか?

上野 幻冬舎です。それこそ青森山田時代から、町田の監督に就任してからのJ2時代とJ1時代、合わせて6年間の取材の集大成となる予定です。そんなタイミングで、今回の座談会に参加させていただいて光栄です。今日はよろしくお願いします。

──つづいて小森さん、お願いします。

小森 小森忠昭と申します。もともと1998年から2001年まで、黄金期のジュビロ磐田のサポーターをしていたんですが、地元の町田にJリーグクラブを作りたいと思って、東京都リーグ1部時代の2001年からひとりで太鼓を叩いて応援を始めました。

──町田の最古参サポーターということになりますよね?

小森 そうなります。その後、町田の後援会やNPO法人の事務局長に就任して、関東リーグ1部だった2008年までクラブ経営に関わりました。今は年間チケットを買って、いちサポーターとしてゴール裏から声出し応援をしています。

──最後に中坊さん、お願いします。

中坊 中坊です。上野さんや小森さんとは違って、自分は町田ゼルビアとは直接的な関係性はないんですが、Jリーグは年間40試合くらいスタジアム観戦しているので、いちサッカーおたくとしてのフラットな視点で、議論に加わっていこうと思います。

──ということで、皆さんよろしくお願いします。さっそくですが、第22節を終えた時点で、町田は依然として首位をキープしています。シーズン開幕時は「そこそこやれるかも」とは思っていましたが、シーズン折り返して以降も首位というのは、さすがに想像していませんでした。サポーターの小森さんは、いかがでしょうか?

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