サポーターを巻き込んで勢いづくヴィアティン三重 シリーズ「JFL2000人の壁」の乗り越え方<3/3>
「1試合平均入場者数が2,000人に到達し、かつ年間入場料収入が1000万円に到達していること」──。これが今季から改定された、JFLからJ3リーグに昇格するための入会要件である。
この「JFL2000人の壁」を乗り越えるべく、J3ライセンスを交付されたクラブは、どのような戦略を立てて遂行するのか? 一昨日のレイラック滋賀、昨日のクリアソン新宿につづき、今回はヴィアティン三重の事業本部副本部長兼営業部長、佐野元教さんにお話を伺う。
今回の3クラブへの取材は、第12節終了時に行っているが、その時点で最も上位につけているのが三重(現在3位)。首位の高知ユナイテッドSCには引き離されたが、1年目の間瀬秀一監督の下、2位の栃木シティFCと激しい2位争いを繰り広げている。
今季の三重については、ブリオベッカ浦安戦を取材している(参照)。試合内容以上に印象的だったのが、アウェイにもかかわらず多くのサポーターが駆けつけていたこと。しかも、応援の熱量がJFLレベルを超えるものであった。
成績面だけでなく、集客でもしっかり結果を出している三重。実はこれについても、サポーターの貢献が欠かせないという。具体的に、どういうことか。さっそく佐野さんの言葉から、探っていくことにしたい。(取材日:2024年6月17日、オンラインにて収録)
ヴィアティン三重
第12節終了時4位(5勝5分け2敗)平均:2,014人
第02節 クリアソン新宿◯4−0(1,327人)
第04節 沖縄SV△3−3(1,169人)
第07節 横河武蔵野FC◯1−0(1,643人)
第09節 アトレチコ鈴鹿●1−3(2,818人)
第12節 Honda FC◯2−0(3,114人)※四日市開催
■ホームタウンではないけれど重要な四日市
──本題に入る前に、ヴィアティン三重にジョインする以前の佐野さんの経歴を教えてください。
佐野 前職はスーパースポーツゼビオでして、東京ヴェルディに2012年から3年間出向していました。ウチの間瀬監督が、ちょうどトップチームのコーチだった頃です。その後はバスケの仕事もしたんですが、出身が三重ということもあり、2年前の2022年からヴィアティンでお世話になることになりました。
──第12節を終えて、ヴィアティンは5勝5分け2敗で4位。ホームゲーム5試合で、平均は2014人です。ここまでの評価はいかがでしょうか?
佐野 成績に関しては、新監督を迎えて不確定要素の多い中でのスタートとなりましたが、順調な滑り出しだったと思います。とはいえ、われわれが目指す昇格を達成するためには、もう1段階、そして2段階ギアを上げなければならないと思っています。
──1試合平均の入場者数は、2023年が1338人、2022年が1779人でした。去年が一昨年を上回れなかった理由は何でしょうか?
佐野 一番の原因は雨です。集客に力を入れた試合が、ことごとく雨に祟られたんですよ。それは今季にも言えて、第11節の四日市(市中央陸上競技場)でのHonda FC戦は3114人だったんですが、雨が降っていなかったら5000人はいっていたと思います。まあ、これは屋外競技の宿命ですので、ついていなかったといえばそれまでですが。
──ヴィアティンの試合は、東員町(LA・PITA東員スタジアム)がメインですが、四日市はどういう位置づけなのでしょうか?
佐野 四日市は人口が30万、周辺を含めて40万都市です。一方で東員は2.5万人ですから、母数が違います。鈴鹿や津あたりからもアクセスしやすいという利点もあります。シーズンを通じて多くの方に見て頂く機会創出という意味では唯一、観戦環境の立地において変化をつけられる試合ですので、事業的にも多くのチャレンジと普段と違った情報を得られる貴重な機会ととらえています。
──ヴィアティンのホームタウンは、桑名市、いなべ市、そして東員を含む5町です。この中に四日市は入っていないですよね?
佐野 ホームタウンではないのですが、活動エリアにはなっていますし、行政との関係性もいい。加えて人口だけでなく、企業の数でも県内で一番ですし、来場者アンケートでも最も多いのが四日市在住者です。ちなみにヴィアティンでは、バレーボールとバスケもやっているのですが、いずれも四日市市と包括協定を結んでいます。
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