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宇都宮徹壱ウェブマガジン

「勝ち負け以外のスポーツの話」に勝機はあるか? 「アスリートを支援」する若き経営者の試み<1/3>

 今週はまず、こちらの動画からご覧いただきたい。

 このほど現役引退を発表した、元なでしこジャパンの岩渕真奈さんのインタビュー動画。これを制作したのが「ICEBERG」というメディアである。YouTubeでの登録者数は現時点で3桁、インタビュー動画のコンテンツ数も16本だが、将来性を感じさせる新興メディアとして密かに注目している。私がこのメディアの存在を知ったのが、こちらのnote

「勝ち負け以外のスポーツの話」というキャッチコピーに、ぐっと感じるものがあり、すぐに連絡をとって実現したのが今回のインタビュー。取材に応じていただいたのは、株式会社セイカダイ代表の五勝出拳一(ごかつで・けんいち)さんである。

 1993年生まれの五勝出さんとは、コロナ前の2019年に一度だけお会いしている。当時の私の認識は「スポーツ界隈にいる若き才能のひとり」というものだった。その年、『アスリートのためのソーシャルメディア活用術』という書籍を共著で出版。2021年には自身の会社を立ち上げ、30歳となった今年は新しいメディアまで立ち上げてしまった。

 私とは親子ほどの年齢差のある五勝出さんには、今回のインタビューで確認したいことがいくつもあった。なぜ新しいメディアを立ち上げたのか。なぜテキストでなく動画を選んだのか。なぜ「勝ち負け以外のスポーツの話」なのか。そして、今のスポーツメディアをどう見ているのか。さっそく、ご本人に登場していただこう。(取材日:2023824日@東京)

「スポーツだけに閉じてしまうのは良くない」という思い

──五勝出さん、今日はよろしくお願いします。今日は取材という形で、久々にお話できるのを楽しみにしていました。

五勝出 こちらこそ。いきなり余談になりますけど、僕とつながりがある若いクリエイティブ系の友人の中にも、宇都宮さんのファンが結構いるんですよ。「文化としてのサッカー」というところに共感しているみたいです。

──それは嬉しい話ですね。1周回ってきたのかな(笑)。さっそくですが「ICEBERG」という新しいメディアを立ち上げた経緯から、お話いただけますでしょうか。

五勝出 僕の会社である、株式会社セイカダイが今年で2期目になるんです。メインはクライアントさんのプロモーション、そしてコンテンツのご支援などです。おかげさまで事業そのものは順調ですが、自分たちのやりたいことの部分が欠落していることに気づいたんです。じゃあ、何を始めようかと考えた時に、出てきたのが「映像メディア」でした。

──現状に甘んじない姿勢は素晴らしいと思います。五勝出さんが代表を務める、株式会社セイカダイですが、ネーミングの由来は「聖火台」でしょうか?

五勝出 そうです。「社会の聖火台になりたい」という意味ですね。自分はスポーツが大好きで、スポーツに育てられたという自負はあるんですが、一方で「スポーツだけに閉じてしまうのは良くない」という思いもありました。五輪というイベントは、普段スポーツに興味がない人にも届くじゃないですか。スポーツを軸足としながら、社会全体を明るくしていきたいという思いもあって「セイカダイ」としました。

──セイカダイは今、社員が何人いるんですか?

五勝出 フルコミットで4人。正社員もいれば業務委託もいます。クライアントさんの要望に合わせてチームを組んでいく感じです。

──そのセイカダイによる新メディアのICEBERGですが、現状ではアスリートへのインタビュー動画がメインコンテンツとなっています。動画を選んだのは、若い世代にリーチしやすいという理由からでしょうか?

五勝出 そうですね。僕には小学生の従姉妹がいるんですが、彼女を見ているとスマホでTikTokとかInstagramばかり見ているんですよ。今後はそれが、スタンダードになっていくんだろうという確信がありました。

──その一方で、メディアのコンセプトが「勝ち負け以外のスポーツの話」。これは、どこから出てきたものなんでしょうか?

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