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【無料記事】ご隠居が心配するJリーグの未来(再) 川端暁彦(ライター・編集者)インタビュー<2/2>

■ファミリービジネスだからこそ情報開示を!

――話をJリーグとサポーターとの関係に戻したいんですが、今回の件が互いに不信感を抱く原因になってしまったのなら、これは非常にもったいない話ですよね。

川端 そうですよね。熱心なファンと「共犯関係」を成立させるのは大事だと思います。なかなか難しいことなのに、今回の件で溝ができてしまった印象です。

――だってサポーター自身、クラブやJリーグがなくなると困るっているのは明らかじゃないですか? その意味では、さっき川端さんがおっしゃったとおり、Jリーグはもともとファミリービジネスなんだと思います。

川端 「Jリーグが困っているんです、助けてください!」ってJリーグの偉い人たちが素直に言ったら、「わかった、なんでもやったるで!」ってなると思うんですよ。それが上からいきなり「2ステージ制」なんてのがボーンって落ちてくるから「なんだ、これ!」って話になってしまう(笑)。

――それこそ震災の時は、Jリーグもクラブもサポーターもみんな一緒になって「何とかしよう」とベクトルが一致して大きなパワーと多様なネットワークが生まれましたよね。せっかくあそこで素晴らしい関係を築くことができたのに。

川端 ホントに台無しですよ。だから、もったいないなあって。だけど、災い転じて福となすというか「ここで強行したらヤバイな」という理性は、どうもJリーグ側にもあったみたいなので、もう一回きちんとと「共犯関係」を作るチャンスかもしれないですね。「俺たち、何だかんだいってもファミリーだよね」っていうことを、もう一回仕切り直したほうがいいと思います。

――そこでメディアが果たすべき役割ということについて、何か方策はありますか?

川端 とりあえず、先送りという結論は出たようですので、Jリーグ側の話を聞くことから始めたいなと思います。

――Jリーグの本丸に取材に行く予定は、近々ありますか?

川端 申し込んではいます。多分、Jリーグ側にしゃべってもらうと、サポーターが知らない話がいっぱい出てくると思うんです。でも、それを知らせないことでやってきたっていうのが問題でしょ? そこのところをあらためて明らかにしたいなと。最終的には、Jリーグが「ちゃんと情報公開します」ってところまで言わせたいと思いますけどね。

――でも、会うと個人個人は結構、ざっくばらんに話してくれるんですよね。事業統括本部長の中西大介さんもそうだし。

川端 中西さんは立派な方ですし、僕も非常に尊敬していますけれど、ただ、彼も決められた枠の中で縛られているところがありますから。情報が出てこないのは、中西さん個人のせいではなくて、そういう仕組みのせいだと思うんです。そういう意味でも、もったいないことをしているなって僕は思います。彼個人としても、ものすごく誤解されていると思いますけど、それはまさにJリーグの古い体質に起因していると思います。

――とにかくまずは、しっかりとした情報公開を求めたいですよね。いつまでも手の内のカードを見せてくれないというのも困ります。

川端 それでもって、手の内を見せないまま「このカードを察してくれよ」って言っているんですよね。「超能力者かよ!」っていう(笑)。

――今日はありがとうございました。

<この稿、了>

川端暁彦(かわばた・あきひこ)

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。2002年から育成年代を中心とした取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月をもって野に下り、フリーランスとしての活動を再開。古巣の『エル・ゴラッソ』を始め、『スポーツナビ』『サッカーキング』『サッカークリニック』『サッカーダイジェスト』『Footballista』『サッカー批評』『サッカーマガジン』『ゲキサカ』『ギズモード』など各種媒体にライターとして寄稿するほか、フリーの編集者としての活動も行っている。著書『Jの新人』(東邦出版)ほか。

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