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イングランドの「アラダイス辞任」が問いかけるもの 協会が「代表監督を守る」ことの重要性を考える

 10月6日に行われたワールドカップ・アジア最終予選、ホームでのイラク戦から一夜明けた。これから11日のオーストラリア戦が行われるメルボルンに向かおうというタイミングで、JFAの西野朗技術委員長が「日本がオーストラリアに敗れたとしても、ハリルホジッチ監督の解任は考えていない」とコメントしていたことが報じられていた(参照)

 協会が世論やメディアから代表監督を守るのは当然のことではあるが、このタイミングでの西野委員長の発言は非常に重要な意味を持つ。終了間際のアディショナルタイムで、劇的な勝利を収めたとはいえ、一定数のファンは今もハリルホジッチ監督への疑念を払しょくできずにいるからだ。

 そんな中、JFAのしかるべき立場の人があらためて現体制の支持を表明したのは、チームへの雑音を最小限に抑え、国民一丸となって大一番に挑む雰囲気づくりを目指していからに他ならない。もちろん、今の日本代表が課題山積であることは私も認める。指揮官の采配に「?」と思うことも少なからずある。だが、少なくともJFAとハリルホジッチ監督との紐帯に今も変わりがないことを確認できたのは、明るい材料であると捉えている。というのも、協会が代表監督を守りきれなかった出来事が、つい最近も海外で起こっていたからだ。

「反面教師」となったのは、フットボールの母国・イングランド。先ごろ、同国のナショナルチームを率いていたサム・アラダイス監督が、わずか1試合で辞任した(実は限りなく解任に近かった)ニュースをご記憶の方も多いだろう。辞任に至った経緯については、こちらのニュースを参照いただきたい。要点をまとめると──。

●アラダイス氏は「アジア方面に強いエージェント」を装ったデイリー・テレグラフ紙のおとり取材にまんまと引っかかってしまった。

●偽エージェントとの会話の中でアラダイスは、FA(イングランド・サッカー協会)や前監督やロイ・ホジソン前監督、さらには英国王室を批判、またはこき下ろしていた(当然、会話の内容は記録された)。

●FIFAが禁じる「選手の第三者保有」に抜け道があることを示唆した上で、顧問となる見返りとして40万ポンド(約5300万円)を求めた。

 この事件について、私がよく理解できなかったのが、以下の3点。

(1)英国ではなぜ、おとり取材というものが存在するのか?

(2)アラダイス氏はなぜ狙われたのか?

(3)FAはなぜアラダイス氏を守りきれなかったのか?

 いずれも、日本人の感覚ではいまひとつ理解しがたい。そこで、現在FIFA.comのエディターであり、マンチェスターでの特派員経験を持つ鈴木英寿さんに私の疑問をぶつけてみることにした。

 まず、英国のおとり取材について。鈴木さんがまず指摘したのが、メディアに対する「国民性の違い」であった。

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