長崎サッカーマガジン「ViSta」

【コラム】今季の入場者数について~2017年の集客。来季以降へ向けて~

今季、V・ファーレン長崎の平均入場者数は5,941人で、J2で14番目の数字だった。ジャパネットグループが集客に総力を挙げて取り組んだリーグ終盤の名古屋戦での12,000人超、讃岐戦での22,000人超の集客が無かったら5,000人に達したかも怪しく、その場合は18位(17位の愛媛が4,931人)くらいになっていたと思うと実に厳しい数字だ。2017年のJ2観客動員数順位とリーグ戦の順位の差(長崎のJ2観客動員数順位14位-長崎の順位2位=14)がJ2で最も激しいのも長崎だったりする。

以下は、長崎における過去5シーズンの平均入場者数。

2013年:6,167人
2014年:4,839人
2015年:4,634人
2016年:4,625人
2017年:5,941人

やはり低調だ。入場者数低下に歯止めをかけた今季の入場者数も、前述した名古屋戦と讃岐戦を除いた時点での平均入場者数は4,707人で、2013シーズンを別にすれば、例年とほどんど変わらないペースであったことがよく分かる。

ちなみに・・2017年のJ1が第32節を終えた時点で最も入場者が少ないのは甲府で、その数は1試合平均10,602人。それでも長崎の倍近い数字がでる。「なぁに、来季からJ1だし大丈夫だよ」・・などと思った方は徳島ヴォルティスの過去5シーズンの1試合平均入場者数を見ていただきたい。

2013年:4,348人
2014年:8,884人(J1)
2015年:5,019人
2016年:4,565人
2017年:4,979人

J1に昇格した2013シーズンの徳島の数字と、今季、名古屋戦、讃岐戦を抜きにした場合の長崎の数字は余り変わらないことが分かると思う。J1に昇格すれば確かに入場者は増える。だが、翌年一気に約4,000人が減っているとおり、それは「J1の徳島」を観にきた方が大半であって、カテゴリ関係なく徳島を観る人は微増程度でしかない。今季の徳島は非常に質の高いサッカーをしていたし、順位も悪くなかった。最後までJ1昇格プレーオフを争う位置にいた。それでも集客は5,000人を突破していない。この現実はとても重要だ。

来季の開幕戦は恐らく多くのサポーターがトラスタに詰めかけるだろう。クラブも集客に力を入れるだろうから、15,000人は確実に超えると個人的に考えている。だが、それはクラブ本来の集客力ではない可能性がある。「話題になっているもの」「興味があるもの」があると、人はそれを1度くらい体験しておこうという心理が働く。都市経済学で「確認型消費行動」と言われるものだ。2013年のホーム開幕戦であるガンバ大阪戦はまさにそれだったから、18,000人以上の観客が入り、次のホームゲームで2,000人というクラブワーストの入場者数となったのだと思っている。

長崎が今後、本当に地域に根ざしたクラブとして活動していくのならば、カテゴリ関係なく長崎を観に来る人を増やしていかなくてはならない。チームはすでにJ1への戦いへ向けての準備を進めている。長崎の街も、同じように来季の認知・浸透・集客へできることを考えて協力していく必要だあると思う。来季のホーム開幕戦を「確認型消費行動」にさせては寂しすぎる。チームがJ1になったのだから、街もJ1クラブを持つに相応しい街にしていくこと・・それできれば、長崎はサッカーでもっと素敵な街になっていくと思う。

reported by 藤原裕久

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