【天皇杯2回戦 vs 水戸】レビューコラム/良い場面は作ったが1得点にとどまり、後半の2失点で逆転負け。
ただ、試合後の記者会見で大木武監督も指摘しているように、前半と同じく後半の入りも相手に押し込まれる状況はあった。それでも49分、古長谷のパスから大﨑が持ち込んでキープ、その流れから豊田が右足で狙う決定機を迎えている。このシュートは相手に当たって若干コースが変わったことでGK春名竜聖の脇を抜け、右のポストを直撃して跳ね返ったが、その後も64分、65分とチャンスを作っており、前半の好機も含めて2点目を奪えなかったことが、結果としては敗退の要因になった。
水戸の森直樹監督は、「前半、立ち位置の関係でプレッシャーを受けた部分があったので、それを回避するために前線の立ち位置を少し修正した」と話しているが、これに対して、江﨑巧朗は次のように話している。
「ゴールキックとかでも1本つないで、両サイドが張って、FWも割とサイドに流れてくる。サイドバックも前半は割と高い位置だったんですけど、低い位置を取って出させることで、自分たちがうまくはめられずに回された感じがある」
状況によっては水戸の両サイドバックがワイドに開きつつ高い位置を取り、地元での公式戦デビューとなった碇明日麻がインサイドやセンターのレーンにも入ってボールに関わる場面もあった。そうした場面が見られるようになったのは、熊本のプレッシャーが前半と比べてかかりづらくなっていたことが要因で、安藤瑞季にボールが渡った51分、さらには野瀬龍世に抜けられてPKを与える形となった試合終盤の場面ともに、碇へのプレッシャーが十分でなく、狙った場所へ長いボールを入れられたことが失点につながった。大木監督も「前半から少しプレッシャーが甘いなという感じがしました。行ってるんですけど抑えられないような感じがありました」と述べている。
初参加となったYBCルヴァンカップの敗退と合わせ、これで今季はJ1に挑む機会が失われることになったが、この悔しさを晴らすにはリーグ戦の残り19試合で勝点を重ねる以外にない。2巡目の対戦となることで、今回の水戸のような対応を取ってくる相手もいるだろう。そうした中でも、ゲームの中で起こることを把握した上で、「相手がやり方を変えてきた時に自分たちが臨機応変に対応して試合中に改善すること、ああいうシーンを作らせないように防ぐことが必要だと思う」と江﨑。中3日で迎える次節の岡山戦から始まる後期、歩みを止めることなくチームとして進化し続けなければならない。