【TOPICS】浸透してきたクラブ理念を形にした、アカデミー出身者の絆。
熊本のアカデミーはこれまで、トップチームの指導者が変わるたびに影響を受けることが多く、高山さんが在籍したジュニアユース、ユースの6年間でもチームの監督は毎年変わってきた。しかし、2014年までアカデミーダイレクターを務めていた永尾健次さんは常々、こんなことを話していた。
「Jクラブのアカデミーでサッカーをした選手の全てがプロになれるわけではないし、サッカーの楽しさ、奥深さを伝えながら、社会に貢献できる人材を育てていくこともアカデミースタッフの役割。県内各地へスクールに行った時も、子どもたちにとって憧れられる存在、『かっこええ大人』でなければいけない。その子が将来、起業して、『スポンサーになってください』と営業しに行って、『スクールの時に嫌な思いをしたから、スポンサーにはなりません』と言われたら大きな損失になりますからね」
今回の高山さんの取り組みを別の角度から見ると、そうした教えもしっかりと根付いているように感じられるし、例えば仲間と協力し思いを形にすること、自分の意見をしっかりと伝え賛同者を集めること、関わった人たちへの感謝の思いを忘れないことといった、サッカーを通じて学んだことも、見えない部分では生かされていたように思う。
昨季で熊本を契約満了となり今季はカマタマーレ讃岐へ移籍する池谷友喜が昨年、「ユースのOB会を組織したい」ということを話していたが、今回の取り組みがそのきっかけになる可能性もあるだろう。高校のサッカー部では、年明けに初蹴りを兼ねて卒業生が集まる機会が恒例になっているところが少なくないが、熊本ユースOBの年始の恒例行事として、地域貢献も兼ねたこの催しが定着していけば、こんなに素晴らしいことはない。これもまた、クラブが歴史を重ねてきたことで生まれていく確かな財産だ。