【ゆきラボ】ドイツ総選挙を振り返りつつ、トラムに揺られて考える話
こんにちは!ドイツの日常コラム、ゆきラボです。
前置きなしで、今回はこちらの画像から見て頂きたいと思います。こちらの画像は、先日2月23日に行われたドイツの議会総選挙の投票結果。有権者1人につき1票、1票目は政党に投じ、2票目は各政党から立候補している候補者に投じる、というのがドイツの議会総選挙の仕組みなんですが、この地図では1票目の投票で各選挙区ごとにどの政党がトップだったかが色分けされています。
出典 https://www.tagesschau.de/
ドイツ全体で見ると首位はCDU(黒)とCSU(紺色)になるだろう、そしてAfD(青)が躍進するだろう……ということそのものは、事前の予想通りになったので大きな驚きはありません。ただ、こうして旧西ドイツ(黒+紺)と旧東ドイツ(青)がくっきり色分けされた地図を実際に目の当たりにしてしまうと、とても重い気持ちになります。
ちなみに周囲がCDUの黒に染まっている中、ぽつんと離れ小島のように緑色になっているのが、我らが地元フライブルクです。ドイツの経済が低迷し、インフレで生活の苦しさや不安を感じる人も多い中、緑の党が掲げてきた持続可能なエネルギー政策や気候変動対策は、ドイツ全体で見ると以前ほどには支持されなくなってきています。
そんな中、緑の党が自分の住んでいる街で求心力を維持できていることは、個人的には頼もしく思っていますし、これからもここで暮らしていきたいと思っている人間としては大きな安心材料でもあります。一方で、自分のいる場所とそれ以外の地域での物事の捉え方に想像以上のギャップがあること、自分に見えている場所と他の場所とでは全然違う景色が広がっていることには、しっかり自覚的に目を向けていかなくては、とも思っています。
出典 https://bundeswahlleiterin.de/ 緑が健闘したとはいえAfDも前回の倍以上に支持拡大。有権者の10人に1人はAfD支持。薄い色で表示されているのは前回の議会総選挙の得票率
もともとドイツはたくさんの小国が集まってできた国です。現在でも連邦制を取っており、州や市区町村の自治の比重が高いので、隣の市区町村、隣の州に行っただけで全然雰囲気が違うというのは今に始まったことではありません。「自分にとっての普通は、他の人にとっての普通ではない」という、これまた普通のことを忘れがちなことを忘れないように生きていきたいなと思っています。
後半も、フライブルクを象徴する乗り物に乗りながら、このテーマを続けて考えていきます。
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