中野吉之伴フッスバルラボ

【きち日記】1月の日本滞在を振り返る②東京、沖縄、大阪でサッカーを通じていろんな交流

1月14日(火)
ホテルで朝カレーを食す。栄養学についての講義を夏の国際コーチ会議で受けたので、思っていたことがあった。重いのを食べるとそのあとの活動が鈍る。となると朝からがっつり食べるのをよくないのでは?

消化活動が激しくなればなるほど、頭脳労働はできない。消化よくて、腹持ちがいいものを食べて、スッキリ朝から仕事ができる方がよっぽどいい。負担を無理に増やす必要はないのでは、と。

JFCA(日本サッカー指導者協会)の藤原明夫さんとつくばでカフェ&ランチ。ふじさんがC級インストラクターとしてJリーガーにしたというアプローチを聞いて、ものすごく勉強になった。

「俺、指導者向いてないよ。わかんないもん」とかいう参加者がいたら、「無理にやんなくてもいいよ」「大丈夫だよ」とかいっちゃいそう。

「うんうん、そうだよなぁ。大変だもんなぁ。でもさぁ」みたいに、相手をスッと受け止めてから、ゆっくりと話し出すあのふじさんのリズムで話をされたら、みんな耳傾けるよなぁ。

その時がどうとかじゃなくて、考えるきっかけを与える話し方や聞き方。経験豊富で、生徒の信頼厚い先生はこれがすごい。学生たちはみんな完璧じゃない。だれだって成長段階だ。だからいろんなミスをする。

それはダメだよと頭ごなしに言うのではなく、生徒の立場にたって、お前の気持ちもわかると伝え、本当に思っているとわかってもらえるように気持ちを込めて、そのうえで、「でもなぁ、そんなことやると相手は困るし、お前だって困るんだぞ。ほんとうにいいのかそれで。やろうとすること諦めないで、もう一度やってみるのがいいんじゃないか」と諭してあげる。

ほんとうになくなってはならないことだ。生徒がいじっても笑ってくれる先生。最高じゃないか。

つくばから外苑、そしてスポーツ協会へ。フライブルクに20年ほど前に1-2年滞在していた盟友と再会。変わってない。の思い出話のほか、彼の取り組みが興味深かった。

IOCがやっている次世代のリーダーを育むためのプログラムに参加。

日本にもリーダー育成プログラムがあるという。そこから推薦と思ったが、希望者がいない。そこでJOCの彼が応募してみることになったところ、見事に採用され、世界各国で研修を受け無事に合格。

今度そこでどんなプログラムを受けたのか詳細を尋ねてみたい。

場所を移して次の約束へ。看板のない一軒家のドアを開けるとそこは素敵な台湾料理屋。日頃からお世話になっている業界の大先輩と一緒に僕の活動について話を聞いてもらったり、経験に基づくとても考えさせられる話に唸ったり。

自分の視野や考え方がどうしても固まってしまうものだ。だからこうした機会に身を置くことはとても大切で貴重なことといつも思う。

1月15日(水)
翌日再び外苑のスポーツ協会で、スポーツ少年団本部長の益子直美さんやスタッフとスポーツの話で盛り上がる。益子さんが取り組む《怒ってはいけない大会》の裏側を聞く。

「『怒らなくても優勝できました!』という報告をうけて、とてもうれしかったんです」という話はこちらもとてもジーンとくる。積み重ねの大切さがそこにある。10年ひとくくりと思っていた益子さんだけど、いまやバレーだけではなく、他の種目でも参考にされた大会が増えている。リーグ戦もスタート。新しいフェーズに入ってきているかも。

何かを変えようとするときにはやはり視座と視点と解釈が適切に設定されないとブレる。なぜ、何のために、どのように行うべきなのか。そこがないままだと調整で終わってしまう。

新百合ヶ丘へ急ぐ。中央大学の渡辺岳夫教授とさし飲み。

興味があって《トークン》の話をいろいろつっこんで聞いてみた。まだ勉強不足だが、自分の活動にどのように結びつけられるか。自分だけではなく、関わる人みんながハッピーになるようなウィンウィンになれるような取り組みはどうやったらできるのか。ここはもっとやっていかないと。

大学としての取り組みについてもいろいろ話を聞かせていただき、それこそ大学の在り方も変わってきているし、そのなかでそれこそどのような価値観をもたらせるかを顕在化していくことがこれからの大学にはもっと求められるのかもしれない。

1月16日(木)
この日は「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする」「3年間ホケツだった僕がドイツで指導者になった話」の編集者森田直さんと、続いて監修で携わった「ドイツ流タテの突破力」編集者の中村僚さんとそれぞれネタ出し兼の打ち合わせ。

対象をどこにするかでアイディアやテイストも変わってくる。

保護者向けにするのか、子どもたち向けにするのか。実用書にするのか、読み物にするのか。

そもそも需要がどのくらいあるのか。書籍の出し方はどんどん変化しているし、その流れを知りながらも、大事なところは外さないようにしなきゃいけない。毎年のように出すことはできないけど、2-3年に1冊くらいずつのペースで動きていけたらいいなと思う。

夜は宇都宮徹壱さん、REALSPORTSでお世話になっている編集者の中林良輔さん、アメリカ大学サッカー留学の仕掛け人中村亮さんと飲み会。17時スタートとかなり早いスタートながら、集まってもらえたことに感謝感謝だ。

美味しいおでんとお酒を飲みながら話が盛り上がる。日本の現場の話を聞くと、まだまだわからないこと、知らないこと、知っておかなきゃいけないことが多いなと感じる。どんだけ熱を込めて話をしても、記事を書いても、それをどう受け止めるかはその人それぞれになる。しょうがないよね、というところも確かにあるんだけど、でもその中でもっとこちら側にできることだってあるんじゃないかとも思う。

僕は指導者だし、ライターだし、講師でもある。そのどれもが僕にとっては大事なツールであって、「なぜ伝えたいのか」「どうして伝えたいのか」、そして「どのように伝えるべきなのか」は常に考えていなければならないことだなと改めて思う。

19時前に僕は皆さんとお別れして羽田空港へ。人生初沖縄。

那覇空港に23時頃無事到着。夜便だったので沖縄の様子は空からはわからず。空港からタクシーでホテルへと移動。温泉付きのホテルをとっていたものの、まさかの24時までが入湯時間でこの日は入れず。とはいえ、お部屋にもユニットバスが当たり前にあるのが日本のホテルのすごいところ。近くのコンビニでバブを買ってきてゆっくり入った。

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