中野吉之伴フッスバルラボ

【インタビュー】RBグループサッカー部門ヘッドとして新しい挑戦を決めたクロップが国際コーチ会議で語っていたこと①

▼ クロップがRBグループに

驚いた。

昨季限りでリバープール監督を辞任していたユルゲン・クロップがレッドブルグループのサッカー部門ヘッドに25年1月から就任することになったのだ。

レッドブルグループのサッカー部門にはライプツィヒ、ザルツブルク、ニューヨーク、ブラガンティーノ(ブラジル)、そして直近で大宮がここに加わっている。

報道によると

・長期契約を締結
・RB全チームに対してコーチング、哲学、人材育成、移籍などのアドバイスをしていく予定

とある。

アドバイザーの立ち位置になるわけなのだから、これまであるRBスタイル全てがクロップ流に変貌を遂げる、ということはないだろう。

「そのサッカーを見ているとワクワクするし、ドキドキする!」という印象を持ってもらうのがRBグループの狙いであるし、企業イメージを最大限にポジティブに高めるためのサッカーを志向しているのが彼らのコンセプトになる。

極端なまでにアグレッシブで、ダイナミックなサッカー。臆病になることなどなく、リスク上等でぶつかっていくサッカー。

エンターテインメントとしての要素を明確なものとし、それでいてサッカー的なクオリティへのアプローチを怠りもしない。

そんなスタイルに魅力を感じる選手は増えてきているし、実際にCL出場の常連となっているライプツィヒやザルツブルクからどれほどの選手がステップアップを果たしているかを考えると、その成果のすばらしさに拍手を送らざるをえないではないか。

クロップがRBサッカーに対して、細部へのアプローチでどのような影響をもたらすのかは楽しみとしか言いようがない。

それこそSNS界隈では「大宮監督になるのか?」という声を多く目にするが、残念ながらそれはない。それでもクロップ要素が加わったRBスタイルが日本サッカー界の革命児のような立ち回りを演じてくれたらうれしいし、まさにそれこそがRBグループが狙うところでもあるはずだ。

さて、今回から数回に分けてそんなクロップが国際コーチ会議で受けた壇上インタビューの詳細についてお送りしたいと思う。

今回はリバープール辞任後どのような生活を送っていたのか、ドイツサッカー界についてどう思っているのか。

その受け答えから彼の人となりがうかがえる内容になっているので是非ご覧になってほしい。

―――トレーニングなしの毎日をどう過ごしているのですか?
クロップ「これまではトレーニング場にいることが多い毎日だったからね。いまもスポーツは結構やってる。あとは家族や孫との時間を楽しんでいるよ。

一番大きな違いは、一つ一つのことに集中して取り組むことができるということだね。

以前だったら、例えばもし今このインタビューの間でもスマホが鳴ったら、反応しなきゃいけない生活だった。チームドクターやスポーツディレクターからの急用かもしれない。

そうしたことを考えずに過ごせる日々を長い間送っていなかったから、今はこの時間を楽しんでいる」

―――あなたはとにかく有名な方だ。このホールに登場しただけでものすごい拍手と歓声がありました。どこに静かな場所を見つけることができるんですか?

クロップ「そうした落ち着きとか普通の環境を探しているよ。周りの人はそのことに慣れないといけないし、私もそれに慣れないといけない。

昨日はそんなにたくさんのサインを書かなくてもよくて、よかった。そうしたことも監督業から離れる理由の一つにはなるといえる。少しのサインをするくらいはいいんだけど」

―――でもそれは価値観の表れでもあるのでは?
「その通りだ。価値観の表れだし、理解している。でも少しそうしたところから離れたくなったというのも事実ある。

リバープールでの最後の4か月間は、全てのフォーカスが私に集まっていて、インテンシティがとても大きくなっていた。大きくなりすぎていたと思うんだ。

様々なプレゼントを受け取ったけど、大きな価値観として喜ばしい気持ちはある一方で、一人の人間として受け止めきれない重さがあったのも確かなんだ。

だからその時が過ぎた時にはほっとした気持ちが大きかったのを覚えている。辞めたかったわけではなく、この状況を解消する必要があったという表現が正しいかもしれない。

※クロップに関して先日寄稿した原稿。彼の指導者としての原型を感じさせられる話です。

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