【ゆきラボ】あんなもの、こんなもの自作してみました。ドイツ自炊ライフの話
こんにちは。もう8月ですね。今月最初のゆきラボは、ドイツでの自炊の話です。さっそく、最近仕込んだこちらの写真からご覧ください。
たっぷりの塩をまぶされてガラス瓶に入っているのはプラム(プルーン)。ドイツ語ではツヴェッチュゲンと呼ばれ、生でそのまま食べたり、ツヴェッチュゲンのケーキにしたり、ジャムにしたりして食べる、夏が旬の果実です。
庭にツヴェッチュゲンの木がある日本人の友人が「これで梅干しが作れるんだよ」と教えてくれたので、生食にはちょっと固い、まだ熟しきってないものをおすそ分けしてもらいました。まずはガラスビンとツヴェッチュゲンを熱湯で消毒して塩漬けにします。だんだん水分(いわゆる梅酢というやつ)が上がってきて、ツヴェッチュゲンがシワシワになってきたところで重石をして、1か月ほど寝かせます。
生のツヴェッチュゲン。この紫色を塩で漬けると、梅干しに近い見た目の暗赤色に仕上がる
以前こちらの無料コラムでもご紹介したことがありますが、ツヴェッチュゲンの他にも、アンズ(アプリコット)やミラベルでも梅干しは可能だそうです。ミラベルは下の写真で後ろに写っている、ちょっと青梅のような見た目の小粒のアンズ。このまま食べても美味しい果物ですが、塩で漬けるとカリカリとした小梅のような仕上がりになるらしいです。うーん、これも試してみたい。
地元の農家さんから買った無農薬のミラベルで朝食
また、ルバーブという酸味の強い野菜を刻んで塩を加えて煮ると、練り梅のような味を楽しめる…と聞いて試したこともあるのですが、こちらは残念ながら好みの味に仕上げることができませんでした。やっぱり多少なりとも梅に近い果実で漬けたほうが美味しいと感じます。
日本で1人暮らしをしていた頃の私は、決して真面目に自炊をするタイプではありませんでした。料理は嫌いではないので、上京して大学に入学したばかりの頃は調理道具や調味料を一通り揃えたりしてちゃんと作る気満々だったのですが、すぐに気づいたのは、まず自分は1人で作って1人で食べるということを楽しめるタイプでは全然なかったということです。
そして、1人分の材料を買って1人分の料理を作り、1人分の片付けをして1人分の生ごみを捨てるという行為は、上手く時間と材料のやり繰りをしない限り、あまり経済的ではない、ということも、実際にやってみるまではなかなか分からなかったことでした。
当時、実家から米を送ってもらっていたので、おかずは出来合いのもので済ませても、白飯だけはきっちり炊いていました。炊飯器より早く炊けて美味いという理由で、炊飯用の土鍋も持っていました。最初のドイツ短期留学時、しばらくパンやパスタだけで過ごしてみたのですが、1か月ほどして久しぶりに食べた白米の味に眩暈がするほど感動。以来、ドイツで本格的に暮らし始めて現在に至るまで、私も夫も、そして子どもたちもしっかりご飯党です。
過去の写真を見ていたら、息子からのお弁当お品書きリクエストが出てきました。米は3合炊けという指令
今、ドイツでせっせと自炊しているのは、一緒に食べる人がいて、和食が食べたいから、この一言に尽きると思います。食べたいけれど手に入らないものは、作るしかない。こういうとき、長い間海外に住んで、現地で調達できるものでああでもない、こうでもない……と試行錯誤してきた先人の知恵、そして各種ネットレシピサイトの集合知は本当に本当にありがたい、としみじみ噛みしめながら味わっています。
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