【きち日記】ユーロ編⑤母国開催の欧州選手権でベスト8進出を果たしたドイツ代表と情熱の戦いを見せたトルコ代表
▼ ドイツ代表が久しぶりのベスト8進出
欧州選手権も残すところ決勝戦のみとなった。
開催国ドイツは決勝トーナメント1回戦でデンマークに勝利し、国際ビックトーナメントでは2016年フランス大会以来となるベスト8進出。準々決勝ではスペインと対戦すると一進一退の攻防を繰り広げる。だがPK戦にもつれるかと思われた延長戦のアディショナルタイムに一瞬のスキを突かれ、ミケル・メリーノに決勝ゴールを許し、ドイツの旅は終わった。
ダニ・オルモのゴールで0-1とされた51分以降、ドイツはよりリスクチャレンジするようになり、ゴール前でのシーンも増えていた。89分に途中出場のフロリアン・ビルツが値千金の同点ゴールを決めたときには、これで試合の流れは完全にドイツだと思われもした。確かに延長戦に入ってからもよりゴールに近づいていたのはドイツだった。その後世界中のメディアを賑わすマルク・ククレラのハンド疑惑というシーンもあった。ドイツファンの納得のいかない気持ちは理解できる。
それでもスペインが勝ったのもまた不当なものではない。決定機の質と数で120分間を比較したら五分五分の展開だった。トニー・クロースがペドリを倒したシーンは間違いなくイエローカードものだった。そうなったら試合展開もまた違うものにもなっていたかもしれないのだ。
この試合を最後にクロースが現役を引退し、トーマス・ミュラーも代表引退を表明した。輝かしいキャリアの最後にふさわしい花道をと祈る気持ちは僕にもある。でもサッカーは、スポーツは相手チームありきのものだ。相手チームにも相手チームとしての意気込みと覚悟とそれまでの準備があるのだ。
サッカーはチームスポーツ。それは代表でも変わらない。14年ブラジルW杯優勝以降、《最強チーム作り》へのイメージが間違った方に向かってしまった。優れた個の力を集めれば優れたチームになるわけではない。チームとして機能するためにどんな組み合わせや取り組みを重視すべきか。そんな原点に立ち返る決断を下したユリアン・ナーゲルスマン監督から学ぶべきことは多い。
ドイツは90年W杯優勝から14年W杯優勝までは24年もかかった。スペインにしても、今回フランスを破って決勝進出したのは、12年欧州選手権以来12年ぶり。そのくらい時間がかかるし、あらゆるタイミングや流れがかみ合わないとそこまで勝ち残ることはできない。
ドイツが負けて、あれほどファンが哀しみ、怒った試合は久しぶりなのだ。それくらいみんな本気でのめりこんでいた。
今大会でドイツはこれからに向けてのベースを見つけることができたはず。今回のすべてを分析し、すべてを受け止めて次へとつなげていく。それこそが大事なのだろう。
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