無料:町田ゼルビア×浦和レッズ戦で示された今季の判定ファウル基準『標準を上げる』接触があっても反則でなければ笛を鳴らさず、プレーを続けるならアドバンテージ[山本雄大審判批評]
標準を上げていくために、『まず反則じゃないものに笛を鳴らすことは止めよう』(そのバラつきをなくすことに)改めてトライしようとレフェリーたちには伝えました。逆に言うと、
―反則のものには当然反則の笛、もしくは反則のプレーを続けさせるのであればアドバンテージ―
まさに今季、Jリーグが求めるレフェリングだった。
20秒の接触は互いにボールにプレーできる範囲内から、体を入れ合うための接触であり、レッズ選手はファウルアピールしていたが、ノーファウルは妥当。これが『標準を上げる』である。同様に3分の下半身の接触も、互いにフィフティなボールに足を出した中で起きており、こちらもノーマルフットボールコンタクトだ。
7分のホールドもロールバックも視野に入れたアドバンテージで、フィニッシュまでディレクションした。
16分の相馬が倒れたシーンは、多少の腕は出ていたが、不用意まではいかないとジャッジ。自らコースに入っていったシチュエーションでもある。17分のサヴィオが倒れたシーンも、ボールをキープすれば接触は起こる。
21分、相馬にあきらかにキッキングした渡邊にプレーが途切れたタイミングで注意。このアドバンテージもメッセージとなっており、相馬はしばらく倒れていたが、選手たちがプレーを続けた事で立ち上がった。
30分、ペナルティーエリア(PA)内でポストプレーを受けた西村が倒れる。グスタフソンに不用意なフィジカルアクションはない。
31分、遅れて競る格好になった中山のファウル。中山からすると、程度から不満があったかもしれない。65分も100-0ではないため、ゼルビアからするとファウルをとって欲しかっただろう。
山本レフェリーは笛を使わずに、試合を止めないゲームマネジメントも丁寧に行っていく。
51分、シュートブロックした石原に頭部にダメージがないか流れの中で確認。62分には【遅延行為】にならないように、また試合を止めないように流れの中でGKに声掛けする。
ノーファウル、ファウル、懲戒罰の基準も的確で、70分、競り合い時、腕を広げて競ってしまった藤尾にラフプレーで警告。71分、フィフティなボールで、スリップしたからではあるが、結果的にラフプレーとなってしまった下田に警告。
74分も見事なアドバンテージから、スプリントを活かして、PA内でレッズ選手が倒れたシーンも納得感あるポジショニングで見極めた。中山のファウル自体もラフまではいかないため、当然、カードはなし。
試合後の記者会見場も、ミックスゾーンも、ゲームの着地への納得感があった。