石井紘人のFootball Referee Journal

AFC U-22選手権準々決勝 イラク×日本 ヤーコブ審判団評:3

■主審:MOHD YAACOB(マレーシア)

採点:3

 

“中東の笛”ではなく、日本に有利な基準だった。

 

2分、カラフがヘディングの競り合い後に倒れるが、正当な競り合いだったため、ファウルはなし。5分には裏から中島を押したファウルをしっかりと見極める。

8分には足を踏みつけたチャレンジになったマフディに警告。しっかりと見極め、ラフな展開を防ぐカードラインをしいた。

16分にもCK前にポジション争いに注意を与える。21分のセイフが倒れたシーンは、自らコースに入っていったということでノーファウル。

25分には中島のターンをたまらず引っ掛けてしまったイラク選手に注意を与えるなど、ヤーコブ主審は、荒れないように細心の注意を払う。

 

ここから、日本に有利と思えるジャッジが続く。

28分の中島がドリブルからPA内で倒れるが、ファウルはなし。TV実況が「シミュレーションでしょうか」とアナウンスしたように、中島に懲戒罰かと思われたが、程度は弱いものの足が当たっているため、演技ではないとヤーコブ主審は判断。

さらに、29分のイラク選手がボールを蹴ろうとした所に足を出したシーンは、ボールにプレーできているということでノーファウルとする。セルジオ越後氏は「レフェリー流すタイプですね」と評したが、というよりはヤーコブ主審はイラク選手たちが演技をしていると判断したのだろう。それは、33分の上野がボールにプレーできる範囲外からチャージしたが、ファウルを貰いにいったという判断したことからも分かる。

同様に44分のPA内にイラク選手が進入したシーンも、ギリギリのプレーだが、ノーファウルとする。

 

もちろん、なんでもかんでも流すのではなく、46分の上田の手のファウルをとったように、足のコンタクト以外はしっかりととる。72分の鈴木のスルーパスが、イラク選手の手に当たったシーンは、故意ではないと判断し、ハンドの適用はなし。

76分にはクサビをファウルでつぶした上田に警告。905分には、抜かれそうになった所を体と手でブロックしたということでバハジャドに警告。

 

 

Laws of the game、そしてAFCFIFA)が求めるレフェリングを意識しているのは分かった。それは、ポジショニングやファウルを貰おうとするプレーに対する強い姿勢だ。だが、まだ精度を高める必要がある。

 

 

~採点基準~

5:彼なしに試合はありえなかった

4:普通に試合を終わらせた

3:ミスにも見えるシーンがあったが、試合に影響はなかった

2:カード・得点に対する受け入れられない微妙な判定があった

1:ミスから試合に影響を与えてしまった

0:試合を壊してしまった

 

 

 

U-21日本代表 0-1 U-23イラク代表
84分:AMJED KALAF AL-MUNTAFIK

 

ゲーム批評:

手倉森監督が「前半は守備から入りました。序盤は思った以上にイラクにパワーがあり、勢いに押されましたが、中盤以降は一進一退となり自分たちのやり方で試合をできました」と振り返ったように、70分までディフェンシブに戦い、最後の20分で勝負というのが日本の狙い。

もちろん、75分までもただただリトリートし、ボールを蹴りだすのではなく、ラインコントロールや、前線に繋いでからのカウンターという意識だけは見えた。

ラスト15分の勝負所での失点は、現時点では、この世代の弱さといえるかもしれないが、狙い通りに攻撃で形は作れていたシーンもあった。

最高のスタートではなかったが、今回のメンバーは日本サッカー協会主導である。これからの手倉森色あるリオ五輪日本代表に期待したい。

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