石井紘人のFootball Referee Journal

家本政明主審がイングランドFAカップ一回戦のレフェリーに

「不平等審判プログラム」と揶揄されてきたイングランドとの交流が、やっと改善された。では、イングランドと日本の審判員を互いに派遣するプログラムといわれていたが、実情は、日本の審判員がプレミアリーグのピッチに立つことは許されていなかった。一方で、イングランドから派遣されてきた審判員はJリーグのピッチに立っている。決して、プレミアリーグのトップのレフェリーではないにもかかわらずだ。それもあって、Jリーグの数試合では、イングランド人レフェリーのレベルに不満も上がった(http://footballweekly.jp/archives/1606551.html)。

ゆえに、関係者から「不平等審判プログラム」と揶揄されていたのだが、イングランド代表戦の親善試合での主審を経て、家本政明氏がその壁を打ち破った。

プレミアリーグとはいかなかったものの、12日土曜日にグリフィンパークスタジアムで行われるFAカップ1回戦、ブレントフォードFC×ベイジンストーク・タウンFCの主審を割り当てられたのだ。

これに、家本氏に手厳しい日本のメディアも「家本審判員がプレミアで初の快挙」とこぞって報道しているが、残念ながらプレミアリーグではない。また、カードを見れば一目瞭然のように、ビッグマッチでもない。FAに登録されていない審判員が同大会の試合を担当するのは初めてではあるが、家本氏の力量ならば、この程度の試合を任されて騒ぐものでもないだろう。

とは言え、大きな一歩であるのも確か。ブラジルやアルゼンチンの選手たちが海外リーグで活躍しているように、各世界大会で結果を残している日本の審判員たちも各国のリーグで活躍できる。“日本の審判員を海外リーグに移籍させる”というのも視野にいれて、これをきっかけにインフラを整えるべきではないか。日本は『審判大国』になる要素を兼ね備えているのだから。

それにしても、多くの批判を受けてきた家本氏が海外から評価を受けるというのは、いかに日本の審判員への評価が偏っているかというのを物語っている気がする。もちろん、過去の家本氏にも問題はあった(後ほどFBRJにて)のだが、この「監督や選手コメントのみの報道」こそ日本のスポーツ文化の妨げになっている気がする。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ