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【レビュー】守備陣と攻撃陣の役割が明快【無料記事】J3第15節 #ガイナーレ鳥取 1-0 #アスルクラロ沼津

【レビュー】守備陣と攻撃陣の役割が明快

【目次】
力の差を見せつけた鳥取
守備で貢献する小牧成亘
守備陣と攻撃陣の役割が明快
DAZNの実況者が秀逸だった件

対象試合:2020明治安田生命J3リーグ第15節 ガイナーレ鳥取 1-0 アスルクラロ沼津

力の差を見せつけた鳥取

リーグ3位の鳥取が、14位の沼津をホームに迎えての試合。試合開始から沼津は、ボールを保持しながら攻めます。GKをかわして無人のゴールにシュートを打つ場面があったのですが、シュートに力が入って枠に飛びませんでした。サッカーを通してみれば、攻撃において何度も何度も決定的なチャンスが訪れるわけではありません。数少ない決定的な機会をきちんと決められるチームが勝利者となるのです。そうした意味では、鳥取が順位通りの力の差を見せつけて勝利した試合でした。

筆者が注目したのは、鳥取の右ストッパーの小牧成亘です。

守備で貢献する小牧成亘

小牧は先シーズンまでヴァンラーレ八戸に加入していました。八戸時代の小牧は、シーズンに入ってすぐに3バックの右ストッパーにコンバートされました。そこで彼のプレーヤーとしての可能性は広がって、鳥取からオファーを受けたのです。

沼津戦もそうですが、最終ラインをきちんと守って、よほどの機会がなければ前線に上がっていかないスタイルになったようです。八戸時代は、ウイングバックを追い越してゴールラインまで駆け上がったこともありました。外から中へカットインしてのミドルシュートが得意なので、少しもったいない印象を持ちました。

チームの方針として、DFは最終ラインをきちんと守って攻撃参加は控えるとの指示があるのでしょう。小牧は守備のタスクをきちんとこなして、チームに守備で貢献していました。

守備陣と攻撃陣の役割が明快

鳥取が好調な理由は、守備陣と攻撃陣の役割が明確なことが挙げられます。小牧が攻撃参加にほとんど加わらないことでも分かるように、1トップ2シャドーの3人を軸にして攻撃してきます。彼らにセンターハーフ(CH)の2人が絡んでくるスタイルです。

得点場面ですが、沼津の選手のパスミスからはじまっています。フェルナンジーニョがもらったボールをドリブルしてバイタルエリアに入っていきます。沼津は 2人のDFが下がりながら守備に入ります。フェルナンジーニョの右横を並走してFW大久保優がペナルティエリアに入ります。沼津のDFは大久保にボールが渡ったらそのまま前に立ちふさがろうと考えていたようです。しかし、フェルナンジーニョは、ペナルティエリアに入るとすぐにシュートを打ってきたのです。早い仕掛けに沼津のDFは戸惑って、中途半端な動きをしたのです。シュートはゴールに吸い込まれて先制点を得るのですが、数少ない決定機を確実に仕留めるのか。仕留めた鳥取が勝利を手にした試合でした。

DAZNの実況者が秀逸だった件

以下は、筆者がツイートしたものです。

こうした表現以外にも、選手を紹介する際にそのプレーヤーの特質を分かりやすく解説するのです。鳥取のセンターハーフ可児壮隆の場合はこうでした。「安藤など、選手たちをつかさどるのが、ボランチの7番の可児。可児がどっしりと腰をおろして、ボランチの位置でタクトを振るいます。鳥取のプレーメーカーです」。こうした表現が何度も出てくる。プレー実況と選手の特徴を同時に伝え、理解を与える実況。サッカー戦術の知識も素晴らしかった。本当に秀逸な実況でした。

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