「作品」としての完成度が高かった中村憲剛引退試合 「NKF」の素晴らしさを4つのポイントから振り返る
今週は12月14日にUvanceとどろきスタジアム by Fujitsuで開催された、川崎フロンターレの伝説的なバンディエラにして元日本代表、中村憲剛さん(以下、憲剛)の引退試合について考察することにしたい(フォトギャラリーはこちら)。
先週末は、レジェンド級の引退試合が相次いだ。14日には憲剛以外にも、仙台では梁勇基氏、神戸では槙野智章氏。そして15日には、横浜では松井大輔氏、東京の味スタではアンドレス・イニエスタ氏の引退試合が行われている。いずれも豪華なゲストが集い、現役時代を彷彿とさせるプレーの数々に、観客も大いに盛り上がっていた。
しかしながら、私が取材した「NKF(中村憲剛ファイナル)」は、他の引退試合とは明らかに一線を画していた、と確信している。
確かに、4万5000人以上を集めたイニエスタ氏の引退試合も、バルサとレアルのOBによるエキシビションマッチという豪華さという点では際立っていた。それに対してNKFは、中村憲剛というフットボーラーのキャリア、そして彼がプロ生活のすべてを過ごした川崎フロンターレというクラブの本質について、実に丹念かつ広範囲に描ききった「作品」だったと感じている。
この「作品」のグランドデザインを描いたのは、Two Wheel Sports代表の天野春果さん(当WMでのインタビュー記事はこちら)。しかし、その後継者といえる人たちも、企画の準備から実施に至るまでの間で活躍していたようだ。そのひとり、田代楽さんがNKFの舞台裏を詳細に明かしている(参照)。
これはこれで大変興味深い内容なのだが、本稿ではあくまでも取材者──というよりも鑑賞者としての立場から、このNKFという「作品」の特異性について、4つのポイントから振り返ることにしたい。
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