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欧州日本人選手をチェックしきれない! 月イチ連載「大人になった」中坊コラム

中坊(30代半ば)と申します。高校生時代からウェブサイトをやっていて、ウェブサイト閉鎖後はTwitter(現・X)で観戦レポやサッカーにとりまく話を日々垂れ流し、1993年の観戦開始から気付けば30年、長いことサッカーに付き合ってきました。
1日2試合見に行くハシゴ観戦、2週続けての海外遠征、南米のスラム地域を通らざるを得ない体験、幅広い年代の友人、どれもサッカーがなければ経験しなかったものです。
さて、先月からスタートした当連載。今回は「欧州日本人選手」にフォーカスしたいと思います。

【中坊(ちゅうぼう)プロフィール】
 1993~2023年のスタジアム観戦数は962試合。特定のクラブのサポーターではなく、関東圏内中心でのべつまくなしに見たい試合へ足を運んで観戦するスタイル。
◎note:https://note.com/tyuu_bou
◎X(Twitter):https://twitter.com/tyuu__bou

 おそらく、このタイトルに日本のサッカーファン全員が同感だと思う。もはや嬉しい悲鳴(?)とも言える現状だが、20年前と比較しながら述べていきたい。

 かつて、2000年代においては欧州クラブ所属の日本代表レベルの選手は限られていた。2002年日韓ワールドカップ直後ならば以下の通り。

・高原直泰(ドイツ:ハンブルガーSV)
・鈴木隆行(ベルギー:ゲンク)
・中田英寿(イタリア:パルマ)
・中村俊輔(イタリア:レッジーナ)
・稲本潤一(イングランド:フルハム)
・小野伸二(オランダ:フェイエノールト)
・廣山望(ポルトガル:ブラガ)
・川口能活(イングランド:ポーツマス)

 2002年直後はまごう事なきサッカーバブルだった。2024年の今、最近サッカーに触れ始めたファンからすると信じられない環境だったことを強調しておきたい。具体的には以下の状況だった。

【①報道】
・サッカー番組以外の民放ニュース番組でも、数秒ながら各選手の活躍が報道されていた。

【②視聴】
・スカパーでリーグごとに視聴可能な契約が用意され、「イタリアライブ」、「オランダライブ」、さらには鈴木隆行のプレーを視聴するための「ベルギーライブ」が用意されていた。

【③5大リーグ以外】
・当時ジーコジャパンに招集されていなかった廣山ですら、ポルトガルまでの現地取材がされた特集記事が不定期にサカマガ、サカダイに掲載されていた。

【④戦力か金か】
・移籍に際しては実際に戦力とみなして活躍を期待する面よりも、日本のマスコミ、ファンが殺到してプロモーション面でどれだけユニフォームが売れるかが先行し、「ジャパンマネー」目当てと現地で言われていた。

 ここ10年くらいでサッカーファンになった人たちからすると、どれも違和感のある状況だと思う。これが2024年現在だと以下の通り激変している。

【①報道】

・一般的な民放ニュース番組で、選手の活躍が報道されるのは稀。特に放映権料の高いプレミアリーグ所属組やCLについては民放の予算がなく、映像が使えず流せないことが多い。

【②視聴】

・ベルギーでは今や20人以上日本人選手が在籍しているが、DAZNでその他各国のリーグとパックになっており、「ベルギーリーグだけ視聴可能」といった独立した視聴契約ではない

・また、日本人選手一人だけのために放映権獲得はほぼなく、それこそ2022カタールW杯に選出された柴崎岳はスペイン2部レガネスに所属していたが、どこも放映権を獲得せず日本国内で柴崎のプレーを視聴することは不可能だった。

【③5大リーグ以外】

・今や「日本代表に招集されていない欧州クラブに所属している選手」は無数にいるため、読者側の興味関心が低く、過去の廣山のように何度も特集記事が掲載されることはない。

・そもそも代表に招集されている選手ですら、前述の柴崎の通りチェックがされにくい状況。

【④戦力か金か】

・悲しい話だが日本の経済力が大きく低下し、円も相当弱くなったため、日本人選手にジャパンマネーを期待するクラブは激減。皮肉にも純粋に戦力としてみなす形に。

・移籍金についても日本人選手に対して多額を払うようになった(最高額は2019年、ポルティモネンセからアル・ドゥハイルに移籍した中島翔哉の44億円)。

 なぜここまで激変したかというと、シンプルに「ヨーロッパでプレーする日本人選手が爆発的に増えたから」に尽きる。2002-2003年において8人程度だったいわゆる「海外組」、これが2024年時点で総勢200人を超えている。ここまで増えたら、とりまく環境も報道内容も激変する。

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