広報スタッフが主役に選ばれた経緯と東京ドロンパとの共演 映像ディレクターが語る、いわきFCマスコット秘話<2/3>
■「がんばれタテノ」で行こうと思うんです、と伝えたら
──マスコット制作には、どれくらいの時間がかかったのでしょうか?
磯見 最初にペライチの提案書を出したのが、2020年のシーズンが終わる頃でしたね。デザインが決まったのが21年の10月くらい。それでデビューしたのが22年の3月でした。
──そしてデビューまでの間に、ハーマー&ドリーの誕生までの映像が作られたと。これは単にプロモーションという意味合いだけでなく、先ほどもおっしゃったように「マスコットの世界観を構築して、ファン・サポーターに共有する」という意味合いもあったわけですね?
磯見 もちろんです。生まれるまでの期待感を高めつつ、説得力があり、なおかつ面白いストーリーしないといけない。ちなみに「8500万年前に栄えたフタバスズキリュウ王国の王位継承者」という設定にしたんですが、「王子様」とはしていないんですよ。あえて性別には言及しないよう、台本にも工夫が必要でした。フタバスズキリュウの性別って、ニンゲンにはわからないはずなので(笑)。
──なるほど(笑)。デビューまでの映像作品が14本あるんですが、こんなに続くと考えていましたか?
磯見 気がついたら、という感じでしたね。最初はクラブスタッフでストーリーを展開していたんですが、そのうち「選手を出していけばサポーターも見てくれるんじゃないか」とか、Twitterでの反応とかも見ながらどんどん足していったら話数が増えていきました(笑)。
──キャスティングについて、広報のタテノ(舘野隼平)さんを主役にしたっていうのは、どういう意図があったんでしょうか?
磯見 単純に舘野さんが可愛かったからです(笑)。可愛くないですか?
──というか、今となっては舘野さん以外には考えられないですよね(笑)。では、広報スタッフを前面に押し出すというのは、どういう狙いがあったのでしょうか?
磯見 まず、マスコットが登場する以前のストーリーですから、いわきFCの誰かを出す必要がありました。当時、一番目立っていたのは、クラブの顔である大倉社長でした。なので、大倉さんの出演はマストだったんですが、もうひとりの軸が必要だと考えていて。ただ、選手だと入れ替わるじゃないですか。マスコットが誕生して以降の絡みを考えた時に、やっぱり広報だろうということになりました。もっとも実際には、舘野さんのセクションは広報ではないんですが。
【編集部註】舘野氏の役職は「クリエイティブ リーダー」。
──それでも映像を通じて、スタッフとファン・サポーターとの距離感が近くなるのは、とても素晴らしいことだと思います。ちなみに舘野さんには、磯見さんから直接オファーしたんですか?
磯見 そうです。「がんばれタテノ」で行こうと思うんです、とお伝えしました。そうしたら「マスコットのためならやります!」って。少なくとも、嫌がってはいなかったですね。内心、嫌だったかもしれないけど(笑)。大倉さんはじめ、舘野さん以外のスタッフも、快く撮影に協力していただけました。
──これはコメントしづらいところだと思うんですけれども、大倉社長がけっこう棒読みじゃないですか。あれは結構、テイクを重ねたんですか?
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