宇都宮徹壱ウェブマガジン

いわきFCのマスコットはなぜ爆誕したのか? 「謎の卵を孵化させろ!」製作秘話<1/2>

 9月も半ばとなり、例年よりもより早く佳境を迎えている今季のJリーグ。2022年、最も驚きを与えたJクラブをひとつ挙げるとすれば、私は迷わず「いわきFC」と答える。J3に昇格して1年目で首位をキープ。第24節を終えて、16勝6分け2敗で得失点差36という数字は突出している。まだ予断を許さない状況ではあるが、このままいわきが一気に昇格する可能性は十分にあり得よう。

 いわきFCに関して、もうひとつ注目を集めているのが、今季デビューしたばかりのマスコット。2体のフタバスズキリュウを組み合わせた「ハーマー&ドリー」である。まずは、こちらの動画をご覧いただきたい。

 ユニークなデザインとモティーフ、8500万年前の中生代からやって来たというぶっ飛んだ設定、そして思わず目を引くパフォーマンス。しかしハーマー&ドリーのユニークさは、むしろその「仕掛け」の部分にあるように感じる。それは上掲した、動画のクオリティと緻密な設定を見れば明らかだ。

 いわきFCといえば、これまでは「フィジカル」ばかりが語られてきた。しかし今回のマスコット発表を見ると、このクラブからは「クリエイティブへのこだわり」という、もうひとつの重要な要素が浮かび上がってくる。フィジカルだけでない、いわきFCのもうひとつの魅力を探るのが、今週のテーマ。お話を伺ったのは、プロモーションチームの川﨑渉さん、そして動画にも主演している舘野隼平さんである。

 なお今回の取材の前日には、マスコットブログで知られるだじゅうるさんをゲストにお招きした「#聴くWM」にて、リスナーの方々から質問を募集。そのうちのいくつかは、実際に川﨑さんと舘野さんにお答えいただいている。ご協力いただいた方には、あらためて御礼を申し上げたい。(2022年8月30日、オンラインにて収録)

<1/2>目次

*コンビニで「卵の人ですよね?」と言われて

*当初から候補にあった「フタバスズキリュウ」

*映像プロダクションのTYOが参加した理由

コンビニで「卵の人ですよね?」と言われて

──今日はよろしくお願いします。まずは川﨑さんと舘野さんの年齢と入社年、部署名と普段のお仕事の内容から教えてください。

川﨑 川﨑渉です。今年で30歳になります。2018年の3月に、親会社のドームから出向してきて、2020年3月に転籍しました。現在の所属はプロモーションチームで、主にクラブのプロモーションと広報を担当しております。今日はよろしくお願いします。

舘野 舘野隼平です。僕も今年30歳で、2018年の10月入社です。所属は川﨑と同じなんですけど、主にクリエイティブの担当をしています。チラシとかポスターとかSNSで使用するグラフィックなど、製作物と呼ばれるものすべてを担当しています。動画のほうも担当でして、YouTubeでの「BEHIND THE SCENES」というコンテンツの撮影や編集もやっています。

──今回のハーマー&ドリーのプロジェクトでは、それぞれどのような役割分担だったのでしょうか?

川﨑 主に僕が、マスコット誕生に向けた企画やアイデアを取りまとめつつ、スケジュールを引いて進行していきました。舘野はクリエイティブなので、デザインのディレクションをやりつつ、動画の主人公としても活躍してもらったという感じです。

──舘野さんは動画であれだけ顔出しをされていたので、いわきFCサポーターの間ではかなり有名人になってしまったのでは?

舘野 そうですね(笑)。試合の日とかは、たくさんのサポーターさんの方々に声をかけてくださるようになりました。ありがたいことです。

──試合だけでなく、普通に街を歩いていても声をかけられるのでは?

川﨑 コンビニの店員さんに「タテノさんですか?」って聞かれたことがあったよね(笑)。

舘野 名前じゃなくて「卵の人ですよね?」って言われました(笑)。

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