ただ変えればいい話ではない「リブランディング」 FC琉球のエンブレム変更はどこが問題だったのか
2023年も残り2カ月となった。今シーズンも終盤戦を迎える中、早くも来季に向けた話題を耳目にするようになった。といっても、監督や選手の人事往来がニュースになるのは、もう少しあとの話。このところ、いくつかのJクラブでのリブランディングによる、エンブレム変更が話題になっている。
先週、10月26日にはFC琉球が、そして28日にはFC東京が、それぞれ来季から使用する新エンブレムを発表している(FC琉球はこちら、FC東京はこちら)。このうち琉球の新エンブレムに関しては、どうもファン・サポーターを中心に反応が芳しくない。
FC琉球のエンブレム
日本人が見ればどの地域のクラブか一発でわかり他にないかっこいいデザインだったのに
新しいのはほっともっとみたいなデザインかつわかりにくくて、シーサーがダサいヒーローのロゴみたいで残念 pic.twitter.com/H6O6F84j2v— RYOTA:14 (@RYOTA_LIONS_FRO) October 26, 2023
私はサポーターでも無いし当事者でも無いけれど、創設からの苦しい時を支えた人達を見てきた。皆んなが苦しい時に左胸を掴み、選手入場の時に掲げて歌う姿を見てきた。エンブレムは誇りなんだ。大事にしてきたんだ。クラブの意志を理解しなきゃいけないのはあると思うんだけど、寂しいね。#コミュサカ
— コミュサカ@管理人 (@commusoccer) October 26, 2023
今のエンブレムをシンボルとしてメモリアル的に繋いでいくエンブレムとして
新しいエンブレムをこれから育てていくエンブレムとして二つあっても良いんではないかと提案したが伝わったか分かりません。
決定事項としてパッと見て沖縄って分からない新しいエンブレムを愛してと言われても…#fc琉球 pic.twitter.com/T64gcw9yW3
— hiroaki ikema (@cafedecampnou) October 26, 2023
3つ目のポストは、地域決勝でJFL昇格を果たした2005年から琉球を応援している、池間弘章さんによるもの。池間さんは、那覇市にあるフットボールカフェ「CAMP NOU(カンプ・ノウ)」のマスターとしても、サッカーファンの間ではつとに有名だ。今回発表された新しいエンブレムについて意見を求めると「ポジティブな感想はありませんね」とした上で、こう続けた。
「このエンブレムから、琉球のアイデンティティである『対のシーサー』と琉球王朝の『王冠』を認識するのは難しいですね。残念な出来栄えと言わざるを得ない。エンブレムというのは、単なるマークではないんですよ。苦しい時や歓喜の時を分かち合い、支え合う家族のような大切な象徴であり、それが地域のアイデンティティとして育っていく。そういったことが、まったく伝わってこないことに喪失感を覚えます」
FC琉球については、クラブ側にもファン・サポーター側にも、知り合いや仲間がいる。が、今回の件については後者の側に立つべきだと判断した。リブランディングという発想そのものを否定するつもりはない。が、ただ変えればいい、という話でもない。そこで以下、本件の何がまずかったのかについて考察する。当該クラブはもちろん、今後リブランディングを検討しているクラブにも、参考になれば幸いである。
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