「規格外のチーム」はなぜ敗れたのか? 全社で見せた、いわきFCのインパクトと限界
「いわきFCの選手って、何だかブロイラーみたいだよね」
全社(全国社会人サッカー選手権大会)3日目。新居浜市営サッカー場での取材を終えて、臨時駐車場に向かうシャトルバスに乗り込んだとき、どこからともなくそんな声が聞こえてきた。この日、いわきに逆転負けを喫した、VONDS市原のサポーターであろうか。いずれにせよ「アンチいわき」による発言であることは間違いない。今大会、観るものに衝撃をあたえたいわきは、「規格外のチーム」として賞賛される一方、少なからずのアンチも生んでいた──。それが、現場を取材しての私の実感である。
それにしても「ブロイラー」というのは、いささか過激ながら面白い表現だ。本来の意味は、食用のニワトリの成長を短縮させる飼育方法だが、もちろん選手を太らせているわけではない。それでも、最先端のエクササイズやサプリメントを効果的に用いて、選手のフィジカルを短期間で向上させているという意味においては、「ブロイラー」という表現がまったく的外れというわけでもないように思う。ここで、先のWMフォトギャラリーでの、いわきの選手たちに関する言及部分を引用する。
彼らの何がすごいかと言えば、圧倒的なフィジカルとスピード、そしてそれらを支える強靭な体躯である。相撲の序の口、幕下、十両、三役、横綱がそうであるように、サッカーでも県リーグ、地域リーグ、JFL、Jリーグでは選手の体格が自ずと違ってくる。いわきの場合、県2部ながら、全員が浦和レッズの槙野智章のような胸板をしているのだ。これには心底、驚かされた。
実際、市原戦でハットトリック(2点目のマーベラスなオーバーヘッド含む)を決めた平岡将豪は、今年の6月にAC長野パルセイロから期限付き移籍してきたのだが、全社に来ていた長野サポーターによれば「ウチにいたときは、あんなにいいガタイではなかった」のだそうだ。この話が事実とすれば、平岡はわずか4カ月間であの体型にまで鍛え上げられたことになる。
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