長崎サッカーマガジン「ViSta」

【コラム】2022年になった今、スタジアムシティの整備費用で何が買えるかを再び身近で考えてみた~2018年の記事から4年後の再検証~

2018年の12月30日にViSta(ヴィスタ)に『専用スタジアムを中心とした施設の費用で何が買えるかを身近で考えてみた』というコラムを掲載した。

それから約4年。整備費用はこの当時の500億から800億に増加し、シレッと完成予定も1年延びている中であらためて800億という予算の大きさを再評価してみたい。

800億と言えば東芝が空調事業を売却して得た譲渡益と同額だとか、ハウステンボスがこのくらいの金額で譲渡される案があるらしいと言われるが、チロルチョコが来月から3円値上がるのが気になるレベルの私にはピンとこない。まずは身近なビッグマックで計算してみよう。

世界中で販売されているビッグマックは1個の値段を比較することで各国の経済力を測る指数(ビッグマック指数(Big Mac index:BMI)にも採用されるほどスタンダードだ。うってつけである。

日本でのビッグマックの値段は1個390円。800億なら2億512万8205個も買える計算だ。1日3食、2個ずつ食べても9万3665年かかる。日本人男性の平均寿命は約81歳。女性は87歳。生まれてからビッグマックを食べ続け、亡くなると同時に新たな0歳児が引き継いで食べるのを繰り返しても、男性なら1156世代、女性なら1076世代である。どんな罪を犯せば、こんな目に遭うのか?げに恐ろしきは800億という額である。

千葉工業大学 未来ロボット技術研究センターの古田貴之所長によると、アニメの機動戦士ガンダムを実際に制作すると800億かかるそうである。しかも現代科学では人が乗り込むのは難しく、設定より巨大になってしまうという。そのため時速8キロでしか走れないそうだ。時速8キロと言えば軽いジョギングレベルであり、これより遅くしか動けない生物は.ゾウガメとか、ナメクジとかナマケモノしかいないようなレベルだ。それではアムロレイさんが「そこっ!」とか素晴らしい反応をしても、あっと言う間に撃墜されてしまう。こうなると800億とガンダムの価値観がむちゃくちゃ微妙になってしまう。少し原点に返ろう。

原点とするのは前回の同記事でも例に挙げた、尊敬すべき故岡本太郎先生の傑作「太陽の塔」(6億3000万)だ。前回の500億計算では80個だったが、今回は126体である。この画像の1.5倍だ。

これはすごい。『岡本太郎式特撮活劇 TAROMAN』の最終回みたいな絵柄だ。言っておくが、タローマンより、18年に書いた記事の方が早い。それでも「なんだ、これは」と言いたくなる。やはり800億というのは脅威である。

しかも、この800億を投じてスタジアム・アリーナ・商業施設・オフィス・ホテルが街中に誕生するのである。それらの施設が連動できるスタジアムシティプロジェクトの推進はやはり正しい選択なのだと実感できる。

こうして、2018年と同様に結論に落ち着いた。かの岡本太郎は「同じことを繰り返すくらいなら、●んでしまえ」と言っているが、人は迷いやすい生き物である。たまに同じことを繰り返したとしても、変わろうという心を忘れずにいれば成長していけるだろう。スタジアムシティプレジェクトも予算や予定が変わろうと、完成したときにみなが喜べるものであれば、それが正解なのである。

reported by 藤原裕久

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