長崎サッカーマガジン「ViSta」

【アカデミーレポート】九州プリンスリーグ参入決定戦 ~あと一歩にもがき続けた強者、創成館が九州プリンスリーグ参入を決定!~

1月に行なわれた新人戦の県予選では長崎総科大附属の前に決勝戦で敗れた。6月に行なわれた高総体県予選でも決勝戦で長崎日大に敗れた。11月に行なわれた選手権県予選では準決勝で再び、長崎総科大附属の前に涙を飲んだ。長崎県1部リーグ終盤にはチーム内が上手くまとまらずにまさかの敗戦を喫して、優勝を逃してしまう可能性もあった。それだけ悔しい思いをしてきたからこそ、創成館高校は来季のプリンスリーグ九州参入を争う「高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ2018九州参入戦」に賭けていた。

参入戦を争う相手は今季の選手権出場こそ逃したが、前年まで3年連続で選手権に出場している佐賀県代表の佐賀東高校。創成館はこの強豪を相手に縦のボールを使った攻撃で立ち上がりの主導権を奪取するが、佐賀東もDF内藤俊介が守備ラインを高くしてボールを弾き返して反撃を狙う。文字どおりの一進一退が続く中、創成館はFW有働洋匤、井川幸人が前線でボールをおさめてシュートへつなげていきながら、守っては佐賀東のエースであるMF寺崎敦彦を抑えこみ、前半を0-0で終了。

どちらも完全に主導権を握れぬ展開の中、試合が大きく動き出したのは60分。MF田中遙斗の右コーナーキックにFW井川(公式記録では井川と記載されていますが、DF池田洋明との指摘をいただきました)がヘディングで合せたボールを、MF梅林大稔が至近距離からシュート。ここまで手堅い守備を見せていた佐賀東のGK宮崎健成も、このシュートは止められず創成館が先制に成功。リードしても集中を落とさない創成館は、DFの背後を狙った佐賀東の攻撃に体を張った守備で対抗すると、72分にMF石橋弓斗のゴールで2点目を奪取。この後もDF池田洋明、GK本村弘翔を中心とした守りで佐賀東の攻撃をしのぎきった創成館が2-0で勝利を掴むことに成功した。

「県内屈指の実力を持つ」と評されながら、大事な試合で実力を出しきれず敗れることの多かったチームが最後に大きな仕事を成し遂げた。背番号10を背負いながら選手権予選で力を出しきれなかったFW井川が得点に絡み、選手権予選準々決勝で負傷し、準決勝の敗戦をピッチの外で見るしかなかったGK本村が、相手の攻撃をシャットアウトし続けたことは、チームが敗戦を糧としてきたことを証明したと言えるだろう。大一番に弱いと言われたチームは最後の最後に実力通りの戦いを見せて快勝した。

これで来季の九州プリンスリーグには長崎のU-18年代チームが、V・ファーレン長崎U-18、長崎総科大附属、創成館と3チームが所属することとなった。その中で創成館にとってはプリンス残留が最初の目標となるだろう。決して楽観視はできないが、この日のような全員で守り、全員で走り、攻めるサッカーができれば残留の可能性は充分にあるはずだ。来季の創成館の戦いぶりにも注目していきたい。

reported by 藤原裕久

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