【きちルポ】年の終わりとともに新たな希望が芽吹きだす。2024年を振り返り、2025年に思いをはせる
大みそかというのは一年で一番時差を感じる瞬間だと思う。
SNSを開くと紅白を見ながらつぶやいている人がいたり、年末のあいさつを終えて年越しを待っている人があふれているそのころ、ヨーロッパで暮らす僕らは年内最後の買い物に出かけ、年越しの準備を進めている。日本が静まり返って除夜の鐘を待ちわびているころ、僕らは夕食の準備に取り掛かる。
そして僕らが新年を迎えたころ、日本のみんなはすでに初日の出を見終えて、初詣を済ませている人だっていることだろう。
だから何だ、というわけでもなんでもなくて、ただそうやって僕らの日常には《違い》や《変化》が当たり前にあるのだな、というのを改めて感じたという話。
ちょうど12月31日にブルーバックスで僕の記事が配信された。
記事中でこんなことをつづったんだけど、それが今なんだかすごくしみる。
ドイツのスポーツ界でよく聞く言葉に、次のようなものがある。
「〈自分の弱さ〉を和らげることで〈自分の弱さ〉で負けることを避け、〈自分の強み〉とともに戦うことで勝つことができるようになる」
その含意は、指導者育成とは「どの指導者も同じような枠にはめることではなく、それぞれの指導者のもつ資質をベースにして、それぞれの強みを引き出し、弱みを抑えるためのアプローチが必要だ」ということだ。
1月に日本一時帰国で全国いろんなところに足を運び、こうした話を伝えて回る。でも《自分の弱さ》を和らげることの大変さも、《自分の強み》とともに戦うことの苦しさを僕もよくわかる。
元日本代表FW岡崎慎司とは今年もいろんな話をさせてもらい、その中で彼のこんな話にとても強い共感を覚えた。
海外での成功はそんなに甘くない。岡崎慎司がプロ目指す若者達に伝える処世術「トップレベルとの距離がわかってない」https://t.co/4mTNN7vrMR#プロサッカー#海外成功#処世術#岡崎慎司@okazakiofficial
— REAL SPORTS(リアルスポーツ) (@realsportsjp) November 6, 2024
「何かを成し遂げたいなら『がむしゃらに一生懸命やってます』だけじゃダメ。自分で課題を見つけて、明確に取り組んで、貪欲に上を目指してっていう子じゃないと厳しいです。そもそも『がむしゃらにやってます!』っていうけど、まだまだ全然がむしゃらでもないと思う。日々の取り組みや生活、自主練の仕方にもっともっと工夫が必要だし、今よりも全然自分を追い込めるはずだよって思うんです」
まさにその通りで、僕自身がドイツに渡ってから常に向き合ってきたテーマだし、覚悟を決めて、貪欲に取り組んできたからこそ今があると誇りを持って言える。思いだけではダメなのだ。力だけでもダメなのだ。今だけが大事なのではなく、それをどのように繋げて、伸ばして、広げていくのかが大事なのだ。
でも、どんなに僕が、僕らが、《自分》と向き合っても、《自分の成長》に取り組んでも、自分だけでは乗り越えられないものがあるのもまた確かなのだ。
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