中野吉之伴フッスバルラボ

【きちの挑戦】これ以上できないと思い悩むこともあるけど、それでも僕はやっぱりサッカー指導者でありたい①

▼ 絶滅危惧種の海外サッカーライター

9月が終わる。

今年もあと4分の1のところまできた。日本一時帰国での活動に、ドイツ・オランダグラスルーツ研修プログラムと多忙だった8月を終え、9月はまた日常モードにと思っていたが、「日常モードってなんだ?」と考え続けたまま9月が終わろうとしている。

本来的な意味でいう僕の日常といえば、街クラブの監督としてチームトレーニング2回して、週末に試合が1試合あって、そのスケジュールと調整しながら週内や週末にブンデスリーグを中心とした試合取材に行って、試合結果や選手コメントをもとにした記事を書いて、さらに選手や関係者などにインタビューを申し込み、その内容をまとめて記事にして、というのがそう。

ただ精力的に取材に出ても寄稿先があまりない現状はなかなかに厳しい。昨今のメディア業界の潮流と今後の展開を考えると、このままサッカーライターという仕事が、しかもスポーツメディアの中ではどうしてもニッチな海外サッカーというジャンルが脚光を浴びて仕事が増えるというのは考えにくい。

日本人選手が絡まない試合に関してだとニーズが極端に下がるのは以前からもあった。日本人選手でも日本代表に選出され、レギュラークラスとして活躍している選手に関する話題じゃないと世間の注目を浴びにくいというのはよくわかる。そして多くの方に読まれる記事を求められるのも理解している。

でも、そうした記事が生まれる背景を理解してほしいと思うのだ。一度の取材から名記事は生まれたりはしない。僕が今まで書いてきたものの中でとても高く評価された記事の数々はやはり、何年も追いかけてきたからこそ書けたものだったはず。

一つ一つの話題性やPV数では期待通りのものがその時々で望めなくても、その取材過程とその先で生まれるであろう作品に向けてお金を出してほしいと願うのはもう時代錯誤の考えなのだろうか?

それならば自力でマーケットを開発しようとnoteで欧州選手権取材紀行を発売してみたが、これが大失敗に終わったのも痛い。可能性を感じられることさえできないところへ着地しただけに、次の一手も鈍っているのが現状だ。

そんな仕事上の悩みを抱きながら、「とはいえ指導者としての活動は順調でバランスはとれている」といったらよかったのだが、そちらの活動は仕事面以上に混乱状態にあった。

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