無料:11月の初めに入ってから、おそらく技術的なプラクティカルトレーニングやフィットネス、セオリーを座学で準備【山下良美レフェリーFIFAワールドカップ2022カタール大会会見②】
10月18日、FIFAワールドカップ2022カタール大会に選出された山下良美レフェリーのオンライン合同取材が行われた。
オンラインではあるが、囲み取材のように、一人が2つ3つの質問を続ける形で進められたので、意訳もあるが全文を掲載したい。
―普段だとトリオ(レフェリー+アシスタントレフェリー)で組まれますが、今回は日本人同士で組めないですし、誰と組むか分かっていないことに難しさを感じていますか?
「難しさは特に意識してないです。とにかく自分自身がやるべきことをとにかくやるだけなので、割り当てはいつどうなるか分からないですし、どんな役割か分からないですし、試合があるかも分からないので、とにかく私はまずはアポイントをもらうこと、そしてフィールドに立てるように全力を尽くすこと。もうそれだけを考えています。」
―現地に入ってからの体力テストは男性の方と同じメニューや基準ですか?
「そうですね。」
―今後の予定で分かっていること言える範囲で教えてください。
「まず、11月初め頃にカタールに入るんですけど、向こうに行って何をするかは正直まったく分からないです。でも通例だと、技術的なプラクティカルトレーニングをやって、フィットネストレーニングをやって、座学でセオリーの部分など、という感じで準備を進めていくんだとは思います。私のただの予想ですけど。」
―女子サッカーもやってこられた中で、男性が多いサッカー界で感じた抑圧や難しさはありましたか?
「私は考えたり、意識したこともなかったですし、嫌なことや苦しいことも全然経験したことがなかったです。むしろ私が最初に始めたのは男の子のチームなのですが、小学校6年生まで男の子のチームで女の子2人でサッカーしてたんですけど、全然そういった意識もなかったし、むしろ楽しかったからこそ、そこでサッカーが好きになって今に繋がっているのだと思います。なので、嫌な経験はありません。あとは自分が気付かない中で、周りの方たちの助けはあったのだろうなと思います。
本当に私は審判員になってから、試合にただただ集中して、試合に全力投球することしかしてなかったんですけど、そうできる環境を周りの人たちが整えてくれてていたんだろうなというのは本当に感じています。」
―審判の道に進むことになったきっかけとなった坊薗(真琴)先輩(参照リンク)と、W杯が決まってから印象に残るやり取りがあったら教えてください。
「このままの言葉だったのか何とも言えないのですが、『なんか、ごめんね』みたいな感じで謝られた気がします(笑)」
―山下さんはどう受け取ってどう返答されましたか?
「『あ、はい』って感じで返したと思んですけど、私としてはこの世界に引きこんでくれてとても嬉しかったと思っています。なんていうんですかね、『こんな(W杯にノミネートされる)大きなことになったね』っていうことを含んで言ってくださったんだと思います。」
―いつどんなタイミングでしょうか?
「文字のメッセージだったと思います。W杯に参加するということが決まったタイミングのメッセージだったと思います。」
―カタールの地で笛を吹いた経験はありますか?
「公式戦ではないですけども、カタールでのFIFAの研修会であったり、ALC(AFCチャンピオンズリーグ)の研修会もやったことがあるので、その中で大会みたいなことで笛を吹いた経験は何回かあります。」
―中東やカタールと日本の試合を担当する違いはありますか?
「特別、感じたことはなかったです。もちろん暑かったですけどね。」
―今回のW杯にノミネートされるまでに色々な壁があったと思いますが、一番難しかった壁は何でしょうか?
「先ほど申し上げた通り、有難いことに大変だったという思いを感じずに来られました。あとは、私があまり壁を乗り越えようとしないタイプで、穴を見つけてそこをすり抜けていくタイプなので、そういう意識だったから気づいてないのかもしれません。」
―影響を受けた審判員はいらっしゃいますか?
「いつもその質問には困ってしまうんですが、いないってことではないです。本当に(レフェリー)皆さんがそうです。」
―W杯でこういう人と組んでみたいというのはありますか?
「どなたでも一緒に組みたいです。一緒に組めたら嬉しいです。」
―思っていたよりも良い意味で責任感を背負っていない印象を受けたんですが、そういう風に思える要因はなんですか?
「なるべく責任を負いたいと思っているので(笑)そう出していきたいんですけど、W杯という大会に参加する、そこで女性初としての責任を負える、そういう立場にいるっていうことを嬉しく思っているので、それをプレッシャーにするのではなく、それを通じてよりモチベーションを高めていきたいと思っています。あとは周りの方たちから応援してもらえる声が力になっているので、それがこう(責任感を)上回っているのかなと思います。」
―周りの方というのは審判仲間でしょうか?
「近くにいるのは審判員の仲間の方たちなんですけど、そこだけではないと強く感じています。誰が一番多いっていうのは言えないんですけど、審判仲間からも声かけて頂きますし、サッカー関係者の方もそうです。こうやってお話している時にも応援の声を頂いていますし、サポーターの方々もそうです。本当に色々な所で声を掛けて頂いて、力になっていると自分で思っています。」
>>>③に続く