【サッカー人気3位】【浦和を語ろう・激論編】浮上してきた浦和と上位戦線(4)上…

石井紘人のFootball Referee Journal

記者「岩下のファウルは醍醐味を潰しているからレッド」「競技規則は重い?」審判委員会「主観にならないように守備側競技者の数や無謀や過剰がある」【2015Jリーグ前半戦レフェリーブリーフィング】

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○コンサドーレ札幌×ロアッソ熊本

CKのボールがゴール前に流れ、巻とGKが競って押し込んで得点が生まれた。

 

上川「これも非常に難しいシーンです。技術委員会の方々とも議論しました。レフェリーは得点を認めました。熊本の巻選手がGKごとボールを押し込んだプレーにも見えます。ただ、よく見るとGKはボールをキャッチしていない。巻選手のチャレンジも危険じゃないですよね?足を上げているとか、膝を立てているとかいうプレーではありません。巻選手が先にボールに触っている。ボールは巻選手とGKの間に収まっているだけ。巻選手のプレーに危険さはなく、ボールにプレーしている。そして、ボールも両者の間にある。以前は、GKはゴールエリアの中では特別なルールで守られているという規則もあったんですけど、今は関係ありません。普通のフィールドプレーヤーと同じです。

これはハリルさんにも見てもらいました。ちょうど近くにいらっしゃったので、ちょっと意見を聞いてみようかなと。技術の方と一緒に。『難しいけど、レフェリーの判定は正しい』と言っていました。ただ、非常に難しいので、場合によっては笛が吹かれることもあるかもしれません。」

 

 

●2015J2第7節 東京ヴェルディ 4-3 FC岐阜 西村雄一審判団

ドリブルしているロドリゴのボールをコウチーニョが奪いに行く。トリップのような接触があり、ロドリゴが蹲る。映像が流れると、メディアの中にはシミュレーションに見えた方もいたのか、笑いが起きた。

 

 

上川「懲戒罰に関するシーンです。我々はこれをレッドカードと考えています。実際に、これで(ロドリゴは)怪我をして、何試合か休んでいたと思います。接触自体はそんなに大きい風には見えない。ただ、意図というか、ボールに対するプレーじゃないですよね。どちらかというと、【著しく不正なファウルプレー】より【乱暴な行為】に近い。映像を遠くから見ると、強く踏みつけているようにも見えない。ただ、やはり後方から相手選手が無防備な状態に、しかもアキレス腱という大きな怪我に繋がる部分に、こういうチャレンジをするというのは警告ではなく、退場が必要かと思います。これは西村さんがレフェリーをやっているのですが、やはり先ほどの場面と同じようにポジショニングが遠い。30mくらいあるのかな。この距離だと、『足にいっているのは分かるのですが、ダメージというか、どこに入っているのかが明確に確認できなかった』と本人も映像を見て(言っていました。そして、)レッドだと言っていました。インパクトのあるようなチャレンジではないのですが、相手競技者の安全と言う意味で、大きな怪我を負わせるものです。イエローも(オレンジの判定なので)受け入れられるものではあると思います。」

 

 

●2015J1第1節 ガンバ大阪 2-2 FC東京 岡部拓人審判団評:1

18分、十六文キックのようなチャレンジをした武藤に警告。これは退場になってもおかしくない接触だったが、ボールへの意図をみたか。

 

上川「この角度からの映像を見ると、皆さんのリアクションの通りで、これはレッドカードです。レフェリーも近い位置にいるんですけど、この映像の角度で見ていれば、ハッキリと分かる。足をあげているのは見えていたからイエローカードを出したけども、(十六文キックのように足裏が入っているのが)はっきりと見えていない。」

 

―副審は(サポートは)無理?

 

廣嶋「無理ですね。背中側から見ている形になるので。」

 

上川「審判員に指導するのは、このシーンでもトラップが一瞬大きくなっている。その瞬間にスイッチを入れないといけない。こういう接触が起きるのは、選手のミスが起きた瞬間なんです。トラップがしっかりと出来ていれば、こういう接触は起きない。ちょっと大きいと、自分のボールにしないといけないということでスピードが上がってしまうし、無理な体勢でボールを奪いに行こうともしてしまう。そういう所もレフェリーは感じながら、予測を持って、ポジションをとらなければいけない。」

 

 

○ベガルタ仙台×清水エスパルス

相手のプレーエリアにある浮いたボールに対し、河井が十六文キックのようなチャレンジをする。

 

上川「やはり浮いているボールというのは、こういう接触が起きやすい。これは審判団の良いチームワークです。レフェリーのポジションからは、映像のようには接触が見えていない。これは4thオフィシャルから、大きな判定ということで、コミュニケーションシステムを使って主審に伝えた。映像を見ると、主審の笛は一瞬遅れているんです。」

 

―第四審判がピッチ内の出来事をジャッジするというのは、両軍の方は知っているのでしょうか?

 

「競技規則に書かれていますので、知っているかと思います。」

 

 

○湘南ベルマーレ×浦和レッズ

槙野がヘディングでクリアしようとジャンプしたが、届かなかったので、後ろから押されたような格好で、ボールをハンドで防いだ。

 

<記者から笑いが漏れる>

 

上川「映像を見れば分かるのですが、きっと押されたという風にみせようとしたのでしょう。正しい判定が下せたので良かったのですが、やはりこういうプレーはなくなると。これも、副審から合図が出ているのでしょう。副審は目の前ですから、接触がないのは分かっている。タフにやろうとしている中なので、寂しい映像です。」

 

―これ、槙野、インターネットで散々晒されていて。シミュレーションは晒すことでなくなるんじゃないですか?ワールドカップも、カメラが多いからシミュレーションが出来ないじゃないですか。

 

上川「僕らが晒すというのは難しいですよね。晒されることはよくあるのですが(笑)」

 

 

○浦和レッズ×湘南ベルマーレ

森脇が密着しながらホールディングして、PKをとられたシーン。

 

上川「ホールディングですね。あと、異議まではいかないのですが、不必要なクレームも自重して欲しいとお願いしてあります。(ホールディングに関しては)第一節で、しっかりと正しい判定が出来たというのは良かったかなと。」

 

 

○松本山雅FC×ヴァンフォーレ甲府

サイドをえぐった攻撃。中央にフリーランニングで入ってくる選手を新井がホールドで倒す。佐藤主審は、右サイドを見つつも、関節視野で新井のホールドを見極め、PKとする。

 

上川「争点がボールと違う所にあるので、非常に難しい判定です。関節視野に入れながら、ボールとエリアを見ている。非常に良いジャッジです。」

 

 

●FC東京×アルビレックス新潟

CK時に、森重がホールドしていたが、見極められず。

 

上川「ただ全部が全部正しく判定できていたかといえば、そうではありません。このCKですね。見極めるのはもちろんですが、まずは予防ですね。」

 

<映像を見て、あまりのホールドに笑いが起きる>

 

上川「ホールディングは非常に少なくなっています。予防がされているのと、選手の意識の変化だと思います。」

 

 

○J1第12節 ガンバ大阪 1-1 川崎フロンターレ 今村義朗審判団評:3

迎えた90+1分。

2vs2の状態から大久保が岩下を抜いたが、岩下がホールドで倒す。川崎フロンターレ側は、レッドカードをアピールするが、今村主審は警告を掲出。

この判定は妥当なのか。

写真を見れば一目瞭然のように、【守備側競技者の位置と数】【反則とゴールの距離】から得点の機会阻止とは言えない。また、【著しく不正】や【過剰】とも見える、相手を負傷させるものでもない。

警告という判定は、今のルールでは妥当である。

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