石井紘人のFootball Referee Journal

2014FIFAワールドカップ開幕戦 ブラジル×クロアチア 西村雄一審判団評:2

■主審:西村雄一

採点:2

 

69分。

TV画面から笛の音が聞こえた。

 

その瞬間、西村雄一主審を応援する多くの人たちが、固唾を飲んでリプレイを待ったと思う。私もその一人だ。

 

そして、リプレイが流れた…

 

「PKはけっして誤審ではないと思う。」

スロー映像を見た後の私は、そう擁護するのが精いっぱいだった。

もちろん、確かに手は掛かっている。しかし、影響しているとは言い難いと感じた人が多いのではないだろうか。

 

 

試合が終わると、雑誌やラジオ局からの電話が鳴った。

 

「石井さん。あの判定ってどうなんですか?」

 

他のメディアが大バッシングをするのは目に見えていた。

なかには、キーパーチャージという過去のルールを持ち出し、批判する方もいるだろう。西村主審にふりかかる火の粉すべてが予想できた。

 

だから、逆張りのコメントを残そうかと思った。

 

「ブラジルの選手たちは、それまでの時間、相手のファウルチャージにも影響されずにプレーしていました。そんななか、PA内でボールを受けたフレッジは、タフにプレーするのをやめ、ロブレンのファウルを誘発させたのです。これがブラジルの巧さです。」

 

いや、これでは政治家のような受け答えになってしまう。

 

「ロブレンの手は掛かっていました。今日は開幕戦です。ホールドは許さないという厳しい姿勢を示したのです。」

 

これも強引な気がする。

 

 

色々と考えたが、FBRJの運営者らしく、純粋に判定を批評しようと考え、コメントをした。その目線そのままに、試合を振り返りたい。

 

 

立ち上がりから、ブラジルのゴールに向かってくるドリブルに対し、クロアチアが激しくコンタクトをするが、それでもブラジル選手たちは影響されずにプレーを続ける。欧州チャンピオンズリーグのような立ち上がりだ。

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