川本梅花 フットボールタクティクス

【レビュー】走り負けては相手に勝てない【無料記事】J2第17節 #水戸ホーリーホック 1-2 #栃木SC

【レビュー】走り負けては相手に勝てない

【目次】
走り負けては相手に勝てない
パスミスが多いと相手に勝てない
勝って負けと引き分けの繰り返しはこれからも続く

対象試合:2020明治安田生命J2リーグ第17節 水戸ホーリーホック 1-2 栃木SC

走り負けては相手に勝てない

水戸ホーリーホックが負ける時、どの試合にも共通する大きな理由があります。それは、「相手に走り負けている」ことです。水戸の戦い方の根本にあるのは、「相手よりも走る」ことです。秋葉忠宏監督は、過密日程による選手のコンディションを優先して、試合ごとに「走れる選手」をローテションで起用しています。したがって、必然的に若い選手の起用が目立ちます。栃木SC戦では、その若い選手が、完全に走り負けていました。セカンドボールが、どこに落ちるのかを予測する動きにおいても、栃木に後れを取っていたのです。

「相手よりも走る」とは、攻撃の際の前への推進力だけではなく、スペースを作る動きや相手を釣り出す動きも加味します。守備では、相手よりも一歩早くボールに追いつく動きや、予測して相手よりも早く着地点に到達する動きとなります。そして最も重要なポイントが「攻撃から守備へ」と「守備から攻撃へ」という切り替えの速さです。この動きの「走り」が一番の水戸の生命線になっています。その点においても、水戸は栃木に「走り負け」ていました。

水戸の負け試合、ほとんどの理由が「走り負け」だと言えます。なぜ走り負けてしまうのか。それは監督の試合後のインタビューに言い表されています。「勇気がない」「臆している」などの精神性に関する内容になるのでしょう。「戦術」ではカバーできない領域なので、精神性を問題にするしかないのです。連勝がないのも、「戦術」では解決できない部分が含むので、安定した戦い方ができないのです。

パスミスが多いと相手に勝てない

横パスを味方の選手に後方で出して、相手にインターセプトされてピンチを招いてしまう。これは、やってはいけない最悪のシナリオです。インターセプトされるには、パスを出した選手とパスを受ける選手、どちらにも過失があると考えた方がいい。パスを出した選手は、周りを見ないで安易に横パスを選択しています。自分の前に相手選手がいないのならば、ドリブルで持ち上がる手段もあるのですが、そうしたチャレンジをしないで横パスを出してボールを奪われる。また、ボールを受ける選手は、ボールを持っている選手がボールを出しやすいように斜め前か斜め後ろにポジショニングするなりの工夫が足りないのです。

栃木戦では、前半に安東輝と乾貴哉が出した横パスがインターセプトされてピンチを招きました。また、決勝点になった栃木DF柳育崇のヘディングも、安東の横パスからでした。後方の選手がビルドアップ中にボールを奪われると、前線の選手は前係になった状態から後ろに移動しないとならないので、体力の消耗が激しくなります。

決勝点ですが、栃木の瀬川和樹が左サイドをドリブルした時、安東は最後まで瀬川に付いて行くべきでした。センタリングを上げさせないように粘り強く、瀬川に並走する必要がありました。そうしなかったのは、体力面での「疲労から」なのか、精神面での「ゆるさから」なのかは、本人でなければ分かりません。ボールを奪われた原因は“たまたま”かもしれないのですが、奪われたから「マズい」と悟ったため、瀬川を追いかけたのでしょう。自分で招いたピンチと認識しているならば、自分の責任を最後まで果たしてほしかった。

勝って負けと引き分けの繰り返しはこれからも続く

水戸サポーターにとっては、連勝のないシーズンとなっています。今後、突然に何連勝もして一気に勝ち上がれるかと言えば、正直に言って厳しい。しかし秋葉監督は、負けた次の試合では、敗因をカバーして戦ってきています。トレーニングの中で、負けた原因をクリアにして次の試合に臨んできます。つまり、秋葉監督のやっていることは間違っていないということです。いつの時も、どんな時もそうなのですが、選手がどうやって臨むのかが大切なことで、試合でプレーする選手次第なのです。

川本梅花

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