川本梅花 フットボールタクティクス

【連載】「5秒でボールを奪い返せ」というルール【1日1回読むだけで身につくサッカーの見方の基礎知識】

【1日1回読むだけで身につくサッカーの見方の基礎知識】

「5秒でボールを奪い返せ」というルール

以下、「攻撃から守備」は「攻守」、「守備から攻撃」は「守攻」と記します。「トランジション」は「変わり目」のことなので、「攻守」や「守攻」の「変わり目」を意味します。そのことを前提にして、「トランジション」と言った際は、「攻守・守攻の切り替えの瞬間」の意味作用を持つのです。「トランジション」で重要なことは、「瞬間」にあたる局面はいつなのかにあります。「攻守」の局面ならば「ボールを失った瞬間」になり、「守攻」の局面ならば「ボールを奪った瞬間」になります。

「ボールを失った瞬間」と「ボールを奪った瞬間」に、チームとしてどのようなコンセプトを持ってアクションを起こすかに注目します。なぜならば、そこにこそ「戦術」と呼ばれる戦い方が明らかになるからです。

「5秒ルール」というものがあります。相手陣内でボールを持って攻め込んでいた時に、相手にボールを奪われたなら、そのボールの近くにいる味方の選手は、相手に猛ダッシュをして5秒間だけプレッシャーを掛けなければならない。これを「プレスバック」と呼びます。5秒間以内に相手からボールを奪えなかったならば、相手の圧力を緩めながら速やかに帰陣してブロックを作ります。

5秒間以内に相手からボールを奪えたら、ボールを保持しながら徐々に攻撃のスイッチを入れていく戦い方と、相手からボールを奪った瞬間に、一気に攻撃のエンジンを掛けてボールを前方に運んでいく戦い方があります。

近現代サッカーでは、「トランジション」の局面を利用して、あえて相手にボールを奪わせて、ボールを回させておいて、そこで一気にプレシャーを掛けてボールを奪ってゴール前にボールを運んで得点チャンスを作るような駆け引きが行われているのです。

川本梅花

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