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川本梅花 フットボールタクティクス

【試合分析】#久保建英 ボールウオッチャーはいらない! ラ・リーガ第8節 #マジョルカ 2-0 #エスパニョール

ボールウオッチャーはいらない!

目次

ボールウオッチャーはいらない!
久保建英の適正ポジションはどこか?

LaLiga Jornada 8
RCD MALLORCA 2-0 RCD ESPANYOL DE BARCELONA
https://www.laliga.com/partido/temporada-2019-2020-laliga-santander-rcd-mallorca-rcd-espanyol-8

ボールウオッチャーはいらない!

後半12分になって久保建英がピッチに送り込まれた。ラゴ ジュニオルに代わった久保は、彼と同じポジションの左サイドハーフを任された。サイドハーフにとって重要な資質は、視野の広さとプレーの展開を的確に読み取れる戦術眼を備えていることである。攻撃と守備において、次のプレーを的確に予測してボールよりも先に動くことが求められる。そして、攻撃面では的確で素早いプレー選択が必要とされ、守備の局面で最も重要視されるのは、ポジショニングに優れているのかということだ。つまり、プレー選択を間違ってはいけないのである。サイドハーフは、激しい上下の動きを90分求められる。そのポジションのプレーヤーは、ダイナミズムと持久力が備わっていなければならない。

そこで、久保建英である。彼にとっての適正ポジションは、果たしてサイドハーフなのかどうか。はっきり言って、サイドハーフにおける久保は、守備面で物足りない。それを示す場面が、後半21分にあった。エスパニョールの右サイドにいたビクトル サンチェスにボールが渡る。マジョルカのアンカーのイドリス ババがプレスに行くがアタックが間に合わない。セバスティアン コルシアがイエローゾーンに侵入する。サンチェスとコルシアの間にいた久保は、サンチェスに寄せるのかコルシアを追っていくのか一瞬迷ってしまう。この場面で「ボールウオッチャー」になってしまった久保。

本来ならアンカーのババが、もっと早くプレスに行かないとならない場面だった。ババの判断力の甘さによって、サンチェスに2つの選択肢を与えてしまう。ドリブルでバイタルエリアに侵入するのか。あるいは、フリーで追い越してきたコルシアにパスを出すのか。久保に取っては、どちらを選択されても不利な状況になってしまう。サンチェスがドリブルできたら久保はサンチェスの前に立たないとならない。そうするとコルシア をフリーにしてしまう。久保の横を走り抜けようとするコルシアに付いていけば、サンチェスがドリブルでバイタルエリアに入れてしまう。実に厄介な場面に遭遇してしまった。

しかし、このように迷うプレー選択は、マジョルカにおいては今後もいくつもあり得ることだ。ババがもっと早くサンチェスにプレスに行ければ、久保はコルシアを押さえに行ける。だが、身も蓋もない言い方だが、マジョルカのババはチェルシーのエンゴロ カンテではない。久保は、ここでのプレー選択はどうすればよかったのか? 先に筆者がサイドハーフのプレーヤーとしての条件として述べたことだが、「次のプレーを的確に予測してボールよりも先に動くこと」を挙げた。つまり、サンチェスはババに任せて、自分の左側を走るコルシアを追えばいいのである。久保がコルシアを追えば、サンチェスはドリブルを選択する確率が高まる。ババは、サンチェスのパス出しには間に合わなかったが、ドリブルすれば付いていけるだけの距離を持っていた。

もしもフォワードのカプザーノに得点を入れられていたら、久保が「ボールウオッチャー」であったことに責任が集中してしまう。運がよく得点されなかっただけで、コルシアに裏を取られて危険な場面を許してしまったのは事実である。攻撃だけでなく守備でも貢献できなければ、マジョルカクラスのクラブでのスタメン起用は難しいと言える。

久保建英の適正ポジションはどこか?

もし、久保を頭から使う気がビセンテ モレノ監督にあるのなら、「4-1-4-1」の2列目の「メディオセントロ」で起用することが望まれる。スペイン語で「インテリオール」は「内部」の意味なので、「インサイドハーフ」に当たると思われがちだが、英語の「サイドハーフ」に該当する言葉である。この場合、イタリア語での「インクルソーレ」の方が適した用語かもしれない。この語は、英語で対応する語が存在しない。イタリア語で「侵入者」の意味になるこのポジションは、前線への攻め上がりで持ち味を発揮する役割を担う。久保は、「インクルソーレ」のタイプだと考えられる。

川本梅花

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