「観戦体験」プロジェクトから考える里山での楽しみ方 リスタートから10年! FC今治J2昇格座談会<2/3>
■勝ち負けに関係なく、お客さんが来てくれるクラブとは?
──森松さんに質問です。DTCとFC今治との関係性ですが、当初は「東京の有名コンサルティング会社が、なぜ地域リーグのクラブの胸スポンサーになるのだろうか」という疑問を多くの人が抱いていたと思います。その後、御社としてもいろいろ軌道修正しながら、よりよいパートナーシップを築いていったと認識しているのですが。
森松 そうですね。もともとは、当社と岡田さんとの契約だったんです。岡田さんが当社の特任上級顧問という形で、役員会でも忖度ないアドバイスをしていただけるという関係性でした。そうしたご縁から、リスタートの段階で(FC今治の運営会社である)今治. 夢スポーツの基盤づくりであったり、チームの胸スポンサーであったり、といった関わり方になっていきました
──そして、森松さんがジョインしたタイミングで「観戦体験」プロジェクトがスタートしたんですよね(参照)。簡単に解説していただけますか?
森松 「ウチに帰るまでが遠足です」って言うじゃないですか。それと同じで、われわれの考え方としては、試合の情報を知った時から試合を観戦して帰宅して、翌日のニュースを見るまでが「観戦体験」と定義しています。つまりスタジアムで観戦する以外にも、試合に関するさまざまなタッチポイントがあるわけで、まさにFC今治はそれに該当する事例だと考えました。
──DTCさんはスポーツ観戦に関して、アメリカとドイツと日本で調査をしていく中で、今治の「観戦体験」が非常にユニークであることに気づいて、それで森松さんがジョインすることになったんですよね? 実際、地域リーグ時代から「試合以外の楽しみ方」というものを非常に意識していたという点で、今治は稀有なクラブだと私も感じていました。
森松 本当ですよね。僕はJFL時代からしか知りませんが、試合後に(スタジアムに隣接する)イオンで選手のサイン会をやったりとか、ハイライト動画なんかも試合だけでなくイベントの様子に時間を割いていたりとか。もともと今治って、サッカーよりも野球が盛んな土地柄というのも、あったと思います。そういった試みが素晴らしいって、岡田さんに伝えたんですが「俺たちのサッカーはつまらないってことか?」って突っ込まれてしまって(笑)。
──なるほど(笑)。ここでいう「観戦体験」って、小笠原さんのようなご家族連れの場合、とても需要なことだと思うんです。「また行きたい」と思わせるかどうか、という話ですよね。
小笠原 わが家の場合、子供が生まれた時からずっと試合に連れて行っているんですけど、小さい子はサッカーが観たいわけではないじゃないですか。それでも里山スタジアムでは、ゴール裏にも芝生があって、そこで他の子どもたちと遊んでいるのが本当に楽しいみたいで(笑)。
森松 ゴール裏の芝生席で、子供たちが走り回る光景って、Jリーグでは今治以外にはなかなか見られないですよね!
小笠原 あれ、いいですよね。なんかずっと大事にしたいなあって。スタンドが増設されても、子供たちがのびのびスタジアムの中で遊べるスペースは残してほしいです。
総統 私は里山ではなく、夢スタしか行ったことがないんですけど、いつだったか神輿をピッチに入れたことがありましたよね? しかも試合の前後ではなく、ハーフタイムで。あれは「すごいな」って感心したのを覚えています。
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