青森山田のサッカーがJリーグでも通用した理由 【町議】FC町田ゼルビアを議論する座談会<2/3>
■「黒田監督のサッカー=町田のサッカー」への違和感
──メディアについては、のちほど議論するとして、黒田監督が志向するサッカーについて考えてみたいと思います。これまで日本のサッカーは、きれいにパスをつないでビルドアップしながらゴールを目指す、というのがひとつの型として定着してきました。ある意味、真逆といえる町田のサッカーですが、黒田監督は昔からこういうスタイルだったのでしょうか?
上野 青森山田の監督に就任したばかりの頃、ぜんぜん勝てない時代が続いて、黒田さんは死ぬほど悩んだそうです。それで何をやったかというと、さまざまな指導者に教えを請うための全国行脚。それで最も影響を受けたのが、市立船橋の布啓一郎さんだったそうです。
──へえ、そうだったんですか! 布さんの市船といえば「堅守速攻」のイメージがあります。
上野 そうですよね。けれども、実際に布さんが重視していたのは、相手のカウンターを防ぐために、高いラインでのプレスで潰すことだったんですよ。それを知った黒田さんは、相手のストロングポイントを着実に潰していくサッカーを徹底して、あのスタイルになっていったんです。その後の青森山田の躍進ぶりは、皆さんご存じのとおり。舞台が高校サッカーでもJリーグでも、黒田さんはまったくブレていないです。
小森 黒田さんは、青森山田のサッカーがJリーグでも通用すると考えていたんでしょうか?
上野 それ、黒田さんに質問したんですが、確信はあったそうです。もちろん高校生に比べれば、プロのほうが戦術など理解は早いので、そこは楽だとも言っていました。
──なるほど。中坊さんは青森山田のスタイルが、そのままJで通用すると思いました?
中坊 自分は厳しいと思っていました。「アマチュアとプロでは、やっぱり違うだろう」と。まあ、見る目がありませんでしたね(苦笑)。ただ、町田のサッカーについて、自分は全肯定しています。ロングスローとか、時間稼ぎとか、PKの時にボールに水をかけるとか。いろいろ批判されていますけれど、プロの監督なんだから勝ち点3のためなら、何でもやるのは当然の話ですよ。
──都リーグ時代から町田を見ている小森さんに質問です。黒田さんのサッカーが、これほど町田にフィットして強くなるというイメージは、2年前に持っていました?
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