【サッカー人気1位】ゲームを勝つために必要なことをしている連勝、次のステップは…

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【無料公開】フィンランドでの2冠達成の陰で 黒﨑優香(レーシング・ルイビルFC)<1/3>

雨と寒さと白夜と極夜! 過酷だった北欧での日々

 ──北欧の女子サッカーって、どんな環境で行われるのでしょうか?

黒﨑 北欧諸国は、全般的に縦方向に速くてフィジカルが強いというところで、共通していると思います。力関係でいうとスウェーデンが一番強くて、フィンランドはフィジカルよりもポゼッションにトライしているような感じです。女子サッカーの人気はわりと高くて、男子の試合とセットで行われることもあるんですけど、ノルウェーでは1万人くらい入る試合もありました。

──最近は日本の女子も、ヨーロッパのさまざまな国でプレーするようになりましたが、ノルウェーやフィンランドだと珍しいのでは?

黒﨑 フィンランドだと過去に日本人がひとりいたみたいですね。デンマークもひとりくらいいたかな。スウェーデンは日本人選手が増えている印象ですね。

──ピッチは基本的に人工芝?

黒﨑 人工芝ですね。寒冷地ということもあって、人工芝がメインです。フィンランドのカップ戦決勝が、ヘルシンキのオリンピックスタジアムで開催されたんですが、そこは天然芝でしたね。それ以外はずっと人工芝でした。

──ヘルシンキには、かなり昔に取材で行ったことがあるので、懐かしいですね。所属クラブでは、トレーニングに行くのには車ですか?

黒﨑 チームメイトに乗せてもらうか、夏の時期は自転車でしたね。フィンランドにいた時は、23キロの圏内で完結していたので自転車で十分に回れるんですよ。

──便利といえば便利ですけれど、よく悪くもサッカーに集中するほかない環境だったんですね。ところで北欧というと、寒さに加えて白夜や極夜もあるじゃないですか。コンディションを維持するのが、ものすごく大変だったと思うのですが。

黒﨑 ノルウェーでは、雨が多い地域に住んでいたんですが、365日のうち200日前後が雨だったんです。おっしゃるとおり、白夜や極夜でなかなか眠れないということもありましたね。夏は夜中の3時くらいまで明るいし、冬は午後4時くらいには真っ暗になるんです。自分が意外と繊細だったというのを、初めて自覚したのがノルウェーでした(笑)。実はノルウェーでの契約を更新しなかったのも、サッカー以外での環境面でのギャップが大きかったのが理由でした。

──やっぱり極寒の中でのプレーは過酷だったから?

黒﨑 寒さという意味でいうと、ノルウェーは最も寒い時でマイナス10度を下回ることは、そんなになかったんですよ。フィンランドのほうが寒くて、雪が降り始めるのは10月くらいから。1月になるとマイナス30度近くになるんですよ。道路が凍るので、アイススケートで通勤する人もいるらしいです。

 私自身は、ノルウエーでもフィンランドでも、基本的にサッカー以外で外出することはなかったですね。日本にいた時は、けっこうアクティブに行動していたんですけど、向こうにいるときは「インドアでもやっていける自分」というものを発見できた感じです(笑)。サッカー以外の外出は、スーパーで買い物するくらい。特に冬の間は、ほとんどの時間を室内で過ごしていました。

──まさにステイホーム状態だったわけじゃないですか。そうした中で、昨シーズンはフィンランドで2冠達成したのは、すごいことですよ。現地ではどんな生活をされていたんでしょうか?

黒﨑 1日の流れでいうと、午前中はゆっくりして、11時すぎに自宅を出てスタジアムでランチを食べて、それからミーティングやトレーニング。戻ってからはリカバリーをしたり、自分の会社の仕事をしたり。あっという間に時間は過ぎていきますよね。それでも時間がある時は、ジグソーパズルをやるようになりました。日本ではまったくやらなかったので、友だちに話すとみんなびっくりしますけど(笑)。

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