あらためて考える「ブルーノ・メンデス」チャント事件 若者を萎縮させるゴール裏文化の是非をめぐって<2/2>

■若者が楽しんでいる動画に我慢できない人々
──以前、セレ女に関する取材をしていて感じたのは「セレッソのゴール裏は女性でも入りやすい雰囲気がある」ということでした。それともうひとつ、2015年にセレッソがJ2に降格した時、一時的に入場者数は減りましたけれど、若い選手の応援から入ってサポーターになった女性ファンもけっこう残っているという話は聞いています。
濱田 それはありますね。曜一朗や蛍みたいな、若くて才能があってルックスもいい選手が揃っていたから、女性ファンが増えたのは間違いないわけですが、そのうち半分くらいがセレッソに残って応援してくれているというのが僕の実感です。
──ぽみさんもロンドン五輪がきっかけで、2012年くらいにスタジアムに行くようになって、ゴール裏に女性の姿が目立つようになってから「私たちもあそこに行っていいんだ」と思うようになったそうですね。
UG 昔から五輪代表がきっかけで、女子のサポーターが増えるじゃないですか。ただし彼女たちが向かうのはA代表の試合で、なかなかJリーグまで到達しないんですよね。それが上手く成功したのがセレッソなわけで、素晴らしいことだと俺は思うよ。
濱田 ウチの場合、女の子も楽しめるスタジアムだったという事実は、間違いないと思いと思います。僕がコールリーダーになる前から、そういう雰囲気があったし、おっちゃんたちも女子サポが増えてうれしいんじゃないですか(笑)。
UG でもさ、SNSとかの反応だと「もっと声出せよ!」とか「自撮りなんかしてんじゃねえよ!」みたいなおっさんも多いんだよ。それを他サポが書いているから笑えるんだけどさ(笑)。
──結局のところ、現場で文句を言う人はそんなに多くなくて、顔が見えないSNSでネチネチやっている人が圧倒的に多いんですよね。今回の「ブルーノ・メンデス」についても、せっかく新しい形の盛り上がり方が発信されたのに、自分たちの価値観と合わないという理由だけで潰そうする。
UG 今のネットが問題なのは、ちょっと間違ったことをした人をみんなで叩くじゃないですか。赤信号を渡ったとか、電話しながら運転していたとか。それって「ゴール裏では熱く応援しなければならない」っていう、応援至上主義者がヌルい人たちを徹底的に攻撃するのと同じ構造じゃないですかね。
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