スタートアップ社長が栃木SCに電撃移籍した理由 WMイベント「えとみほが考えるJ2改革とは?」<1/4>
今週から2週にわたり、6月1日に高円寺・スポーツ居酒屋KITEN!で開催された、宇都宮徹壱WMプレゼンツ「スタートアップが地方クラブを変える! えとみほが考えるJ2改革とは?」の模様をお送りすることにしたい。
メインゲストのえとみほこと江藤美帆さんについては、もはや説明不要であろう。当WMでは、どのサッカーメディアよりも早く、彼女の単独インタビューに成功(参照)。その時の取材で、彼女が栃木SCに転職することを知り、「それならぜひ、ウチのイベントにもご出演をお願いします」と説得して、実現の運びとなった。
今回のイベントでは、私のサッカー仲間の中からIT業界にも詳しい中村慎太郎さんにも加わっていただき、さらに第1部では栃木サポのお笑い芸人である井上マーさん、第2部では福島ユナイテッドFCの竹鼻快GMにも飛び入り出演していただいた。これほど強烈なメンツが揃ったのは、私の人徳によるものではなく、皆さんがいずれも「えとみほさんにお会いしたい!」という思いが強かったからに他ならない。
ではなぜ、えとみほさんはサッカー関係者に対して、これほどまでに訴求力があるのだろうか。その理由は、このイベントでの彼女の発言を読めば自ずと理解できるはずだ。今回のイベントのテーマは、IT系スタートアップ企業を出自とする彼女が、なぜに地方のJ2クラブを新天地に求めたのか、という素朴な疑問からスタートしている。しかしイベントが始まってみると、われわれサッカー業界の人間が「常識」としてきたことが、彼女にとっていかに不思議で新鮮な驚きだったかが次第に明らかになっていく。
なお、WMイベントは2カ月の1回のペースで続けているが、えとみほさんをお招きしたこの回が最も反響が大きかったように感じる。当日の熱気が少しでも伝わるよう、いつも以上に再現性に力を入れたつもりだ。当日、参加した方はもちろん、参加できなかった方にも楽しんでいただければ幸いである。(収録日:2018年6月1日@東京)
<目次>
*「求人サイトで見つけて応募したら」栃木SCのフロントに
*「私の中で『情熱大陸』のテーマソングが流れたら」
*「Jリーグの話が出てくる」「お金がない」「パワーバランス」
*なぜ「栃木県民は宣伝するのが下手」なのか?
*栃木県が餃子以外にアピールできるものとは?
*「変えてください!」と願う人と「変えてほしくない」人
前列左から、竹鼻さん、えとみほさん、中村さん、そして後列に井上さん。
■「求人サイトで見つけて応募したら」栃木SCのフロントに
──えとみほさん、中村さん、今日はよろしくお願いします。
えとみほ&中村 よろしくお願いします。
──えとみほさんについては、のちほどプロフィールをご紹介するとして、中村さんをなぜお呼びしたかについて説明したいと思います。中村さんは作家業の傍ら、去年は渋谷にあるBOOK LAB TOKYOで書店員をされていたんですね。渋谷という場所柄、スタートアップ系の界隈に詳しいということで来ていただきました。
中村 中村です。宇都宮さんのおっしゃるとおり、サッカー界とスタートアップ界、両方のことがうっすらとわかるということで、今日は呼んでいただいたようです。実はそこの書店は20代から30代の人が多いんですが、みんなえとみほさんのことを崇拝しているんですよ。今日のイベントでえとみほさんに会うって言ったら「ええ! 中村さんって、そんなにすごい人なんですか?!」って言われて(笑)。
えとみほ 私はそんなにすごくないです(笑)。
──ということで、まずはえとみほさんの経歴をまとめてみました。先月(5月)1日より栃木SCのマーケティング事業部長に就任されて、ちょうど1カ月になるわけですけれど、それ以前について簡単にお話いただけますでしょうか。
えとみほ はい。私はアメリカの大学に留学して、その時にインターンとしてマイクロソフトで1年くらい働く機会があったんですね。それで帰国したら、ちょうど日本は就職氷河期になっていて、ぜんぜん就職先がなかったのでフリーでテクニカル系のライターをやっていました。その後、たまたまイギリスに旅行に行ったときに、5時間くらいの禁煙セラピーというものを受ける機会があって、それまでヘビースモーカーだった私が禁煙に成功できたんですよ。そのビジネスの日本での権利を得て、日本で本を出したら300万部くらい売れたのかな?
中村 今、さらっと言いましたけど、300万部ですか?
えとみほ 芸能人の人たちが帯を書いてくれたのも大きかったですね。で、その事業を譲渡してから、VR(ヴァーチャル・リアリティ)での不動産ベンチャー、Googleのストリートビューの撮影をするオペレーションのマネージャー、ウェブの広告代理店でメディアを立ち上げたりしていました。
──そして16年、スマートフォンで自分が撮った写真が売れるアプリを開発して、『スナップマート』というビジネスを立ち上げて、そこで2年間社長を務めてから栃木SCに電撃移籍されたと。まあ、波乱万丈な半生なわけですが、中村さんはここまで聞いてどんな感想を抱いたでしょうか?
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