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【アカデミーレポート】2023長崎県高総体総括~順当ながら、地力のあるチームが上位に進出した大会~

令和5年度の県高総体(令和5年度 長崎県高等学校総合体育大会 サッカー競技(男子))が終わった。終わってみると各ブロックの有力校が順当に勝ち上がり、昨年選手権予選での長崎総科大附ベスト8敗退や、今年の新人戦での国見初戦敗退のような波乱は少なかった。それだけ各校がしっかりと地力を見せた大会だったということだろう。

優勝した国見は1回戦からの出場となったが、1月の新人戦初戦敗退の悔しさに加え、3回戦で長崎総科大附との接戦を勝利したのが大きかった。ゲームの主導権を握るという部分では昨年より劣るが、平田大耀・中浦優太らを中心とした守備は実に手堅く、ボランチも板東匠の起用で安定感が増してきた。FW中山葵という飛び道具的選手の存在も大きく、総合力は高い。

長く全国から遠ざかっていたが、一昨年と昨年に新人戦、昨年の選手権出場、今年の高総体制覇と県内主要タイトルを木藤健太体制で獲得。県最強の一角という立場を揺るぎないものとした。

長崎日大は敵陣でボールを動かす意識がより高まり、多くの試合で主導権を握って試合を進めた。新人戦の頃から指揮を執っていた坂本信行監督のスタイルがより浸透したと言えるだろう。大町璃史・田代拓叶・山口翔らタレントが力を発揮できていたのも良かった。決勝戦で惜しくも敗れたが内容的には十分優勝に値するものを見せた。夏を経てどうなっていくか実に楽しみなチームだ。

昨年から関係者の間で「海星は良い」と評されていたが、今大会でも個の良さが光った。FW塩塚駿介・DF阪凌駕など各ポジションに好選手が多く、中盤からトップまでプレーできる2年生の増山志道は面白い存在だった。準決勝は強い雨の劣悪なピッチコンディションだったがボールをコントロールするシーンも多くベスト4進出も納得の力だった。

創成館は少し前の故障者だらけの状態からよく立て直していたと思う。復帰から日の浅い選手も多かったので、ここから篠原太希らの主力が復帰できれば更に良くなるだろう。2年生の田原昊仁郎が順調に成長している点も心強い。一方、準決勝で勝ち試合の流れをひっくり返されたようにゲーム運びやメンタル面に課題があった。ここを向上させていきたいところだ。

準決勝進出の4チーム以外で言えば、もはやベスト8の常連となった佐世保実業、九州文化学園といった県北勢の躍進がより明確になってきた。長崎総科大附は3回戦で国見に敗れたものの、故障者も多かったことなど考えると実力的には十分にトップを狙える力はある。南山は攻撃的なスタイルの代償で、受けに回ると弱さが出る点をどう克服すかが今後のカギとなりそう。ここからそれぞれの学校がどう成長していくか楽しみにしたい。

最後に、連戦による過密日程(+天候(雨でボールが止まるピッチでの準決勝は選手が少し可哀想だった)などで、今後の改善を期待しつつ、声援が響く熱い大会をしっかり運営してくれた関係者の方にもお礼を言いたい。

いつも、ありがとうございます。

reported by 藤原裕久

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