リトリートは相手からボールを奪うための守備です【1日1回読むだけで身につくサッカーの見方の基礎知識】
【1日1回読むだけで身につくサッカーの見方の基礎知識】
■リトリートは相手からボールを奪うための守備です
アナウンサーが「ここは数的不利ですね」とテレビで実況していました。では、「数的不利」とは、いったいどのような場面を指していうのでしょうか? たとえば、相手に速攻を仕掛けられたならば、「数的不利」な状況は生まれます。つまり、こちら側が4人で守っているのに、相手は5人で攻めてきたなら、その場面は4対5の「数的不利」な状況だと言えます。そうした不利な状況に立たされた時に、守っている側はどうやって守備をすればいいのでしょうか?
対処の方法として、「リトリート」という守備戦術があります。「リトリート」は、ただ後ろに下がって守るというやり方をしません。「下がりながらブロックを形成して、ボールの近くにいる選手がプレスを掛けてボールを奪う」。これがリトリートというものです。4対5で数的不利な状況になったので、後方に下がってブロックを敷いて、ゾーンに入ってきた相手にプレスをかけるやり方ではありません。
ディフェンスの鉄則として。自陣のペナルティエリアに近ければ近いほど、相手のマークを激しくしなければなりません。リトリートを守備戦術に取り入れているチームは、「後方の自陣に入ってくる相手に反応する」という守り方をしているチームがあります。または、ブロックを敷いて壁を作ってボールを弾くようなイメージがリトリートにはあるように思われます。しかし、そうした捉え方はまったく正しくありません。
リトリートは、ディレイの守備戦術とつながりがあるのです。数的不利の状況の時に、守っている方は、ボールにプレッシャーをかけて無理に取りに行ったら、相手にかわされてしまう確率が高くなります。相手の前に止まって勢いを少し緩めることが大切なのです。
川本梅花