お願いだからワールドカップをオモチャにしないで 1世紀を迎えるフットボールの祭典の不確かな未来
本題に入る前に、皆さんにクイズを出すことにしたい。テーマは「ワールドカップ」。ただし、来年のワールドカップではなく、第1回ワールドカップからの出題だ。Wikipediaを見ずに何問正解できるか、ぜひチャレンジしていただきたい。
【01】第1回ワールドカップの開催国はどこ?
【02】第1回ワールドカップの開催年はいつ?
【03】第1回ワールドカップに出場したのは何カ国?
【04】欧州から出場したのは、フランス、ベルギー、ルーマニア、あと1カ国は?
【05】この大会のトロフィーの名称は?
【06】この大会の優勝国は?
【07】この大会に英国4協会が出場していないのは、FIFAに加盟していなかったから──。ホントかウソか?
【08】この大会では引き分けでの再試合があった──。ホントかウソか?
【09】この大会の決勝で対戦した両国は、試合が原因で国交断絶になった──。ホントかウソか?
【10】日本も第1回ワールドカップに出場するチャンスがあった──。ホントかウソか?
それでは、答え合わせをしていこう。
【01】はウルグアイ。【02】は1930年。どちらも簡単すぎると思われるかもしれない。ところが、海外経験のある元プロフットボーラーでも、意外とご存じなかったりする。【03】は13カ国。内訳は、南米が7、欧州が4、北中米カリブが2。当初は16カ国の参加を目指していたが及ばなかった。
【04】はユーゴスラビア。この大会では4位になっている。【05】はジュール・リメカップ。ワールドカップ開催に尽力した第3代FIFA会長の功績を後世に伝えるべく、カップにその名を刻むこととなった。【06】はウルグアイ。同国は、1924年と28年の五輪でも連覇を果たしている。
【07】はホント。英国4協会は1928年から2度目のFIFA脱退を敢行している(1948年に復帰)。【08】はウソ。この大会は18試合が行われたが、引き分けは1試合もなかった。【09】はホント。在アルゼンチンのウルグアイ大使館には、試合結果に興奮した千人ほどの地元ファンが押しかけ、警官隊が発砲。一時的に国交断絶となるほど両国の関係は緊迫した。
最後の【10】はホント。当時の大日本蹴球協会には、FIFAから招待状が届いていたものの参加は見送られた。日本は昭和恐慌のただ中であり、協会自体も財政難にあったため、無理もない話だと思う。逆にもし、招待を受けていたなら、その後の日本サッカーの歴史はどうなっていただろうか。
クイズは以上。10問中満点の方は、どれだけいたのか、いささか気になるところだ。なぜ、第1回ワールドカップのクイズを出したのかについては、のちほど種明かしをする。まずはこちらの記事をご覧いただきたい。
内容を要約すると、CONMEBOL(南米サッカー連盟)のアレハンドロ・ドミンゲス会長が、第1回大会から100周年となる2030年大会の出場国を特例で64カ国とすることを提案、その理由について同会長は「すべての国にワールドカップを体験する機会を与え、地球上の誰もがこの祝祭から取り残されないようにする」としている。
このニュースをご覧になって、皆さんはどんな感想を抱いただろうか。私の率直な思いは、タイトルに掲げたとおり。「お願いだからワールドカップをオモチャにしないで」である。
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