旧市民球場跡とみなと公園を歩いて生じる新たな疑問 「(オールフォー)ヒロシマ・ノート」第01回<3/3>
今西への取材から一夜明けた1月25日、エディオンピースウイング広島(Eピース)にて、皇后杯JFA第46回全日本女子サッカー選手権大会決勝が開催された。カードはアルビレックス新潟レディース vs 三菱重工浦和レッズレディースである。
普段はWEリーグをはじめとする、女子の試合を観る機会は少ないのだが、今大会は格別の思いで取材させていただくことになった。その大きな理由は、決勝の会場が広島の新スタジアムだったことが大きい。女子のカップファイナルが広島で開催されるのは、これが初めてだ。
街なかに専用スタジアムができると、こうした恩恵がある。思えば2024年6月11日には、ワールドカップ・アジア2次予選のvsシリア戦がEピースで開催されている。広島での代表戦開催は、2004年7月9日のvsスロバキア戦以来、実に20年ぶりであった。
代表戦を主催するJFAでは、A代表の試合を開催する条件として「スタジアムのキャパシティが4万人以上」という基準があると聞いたことがある。Eピースの入場者数は2万8500人。規定をはるかに下回るのに、それでもJFAが目をつむって代表戦を開催したのは「スタジアムを作ってくれた自治体に何かしら還元したい」という姿勢の現れと見るべきであろう。
皇后杯決勝は、1−1のまま120分でも決着がつかず、PK戦の末に浦和が優勝を果たした。表彰式を撮影してから、すぐさま撤収。メディア受付で撮影用のビブスを返却してスタジアムを出る。向かう先は、ひろしまゲートパーク。広島市民球場跡地に作られたイベントスペースだ。
Googleマップで確認すると、Eピースからは旧太田川(本川)に沿って、原爆ドームに向かう途中にあるようだ。ジョギングや犬の散歩をする、地元の人たちがのんびり行き交う河川敷の道。一見すると平和でのどかな光景だが、1960年代までは約900戸の不法バラックが密集する地域だった。
(残り 2724文字/全文: 3589文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ